雷でNASに影響が出たら?知っておくべき対処方法と防止策

雷でNASに影響が出たら?知っておくべき対処方法と防止策 雷でNASに影響が出たら?知っておくべき対処方法と防止策

雷が多い季節になると、NAS(Network Attached Storage)を使用している家庭やオフィスでは、雷による電力トラブルやネットワーク障害への懸念が高まります。NASには大切なデータを保管していることがほとんどで、雷による影響を受けるとデータ損失やシステムの故障といった重大な問題が発生する事も多く起こりえます。ここでは、雷によるNASへの影響や雷が鳴った際に行った方が良い対処方法の他、事前にできる防止策について詳しく解説していきます。

目次

雷によるNASへの主な影響


雷が発生すると以下の様な影響がNASに生じることが懸念されるものです。

  1. 電源サージによるNASの故障
  2. 停電や瞬電によるデータ損失
  3. ネットワーク機器の故障によるアクセス不能

1.電源サージによるNASの故障

雷が発生すると電力線を通じて瞬間的な高電圧(サージ)がNASに流れ込むことがあります。これにより、電源ユニットやHDD、SSD、基板、ネットワークインターフェースなどが故障し、NASが起動しない・共有フォルダにアクセスができない等のトラブルを引き起こすことがあります。

↓共有フォルダにアクセスができない状態でお困りの方はこちらも参照ください。

2.停電や瞬電によるデータ損失

雷によって停電や瞬電が発生するとNASが突然シャットダウンしてしまいます。これにより、データが正しく保存されず、ファイルシステムの破損やデータ損失に繋がることも多く、注意が必要となります。

3.ネットワーク機器の故障によるアクセス不能

雷の影響でルーターやスイッチなどのネットワーク機器が故障するとNASにアクセスできなくなることがあります。これによりNASが正常に動作していてもネットワーク経由でのデータの利用が不可能になってしまいます。

雷の影響でNASに生じる症状は

雷の影響でNASに下記のような症状が出た場合には機器の損傷やデータの損失が発生している事が多く、慎重な対応が求められるものです。

  1. NASが起動しない
  2. NASにアクセスできない
  3. エラーメッセージが表示される
  4. 共有フォルダにアクセスできない
  5. ランプの異常点灯
  6. NASが再起動を繰り返す
  7. ネットワーク接続の不良
  8. 異音の発生

1.NASが起動しない

雷による電源サージで電源ユニットが故障し、NASが全く起動しなくなることがあります。

2.NASにアクセスできない

雷によるネットワーク機器の故障やNAS本体および内部部品に障害が発生することにより、NASにアクセスができなくなることがあります。その他、ネットワーク経由で接続ができなくなったり、Webインターフェースやファイル共有が利用できなくなったりすることもありえます。

↓NASにアクセスができない状況でお困りの方はこちら

3.エラーメッセージが表示される

雷が鳴った・落雷が生じた後にはNASの管理画面や接続しているパソコン、スマートフォン、タブレットなどの端末でNAS内のデータが破損した・システムに不調が生じた・内蔵HDDや基板が故障した等のエラーメッセージを受け取ることがあります。

・雷の影響で不具合が生じた際にエラーメッセージが表示されるNAS例

TeraStation・LinkStation(Buffalo)、LANDISK(IODATA)、DiskStation(Synology)、ReadyNAS(NETGEAR)、My Cloudシリーズ(Western Digital)の他、QNAP、Drobo、Asustor、ELECOM製のNASなどが挙げられます。

↓LinkStationやTeraStationにエラーが表示された場合にはこちらも参照ください。エラー別の対処法や注意点も紹介しています。

4.共有フォルダにアクセスできない

雷の影響で発生する停電や不安定な電圧により、NAS内のデータやファイルシステムに損傷が生じた場合には共有フォルダにアクセスができない・特定のファイルやフォルダが開かない・保存中のデータが破損するなどのトラブルが発生することもあります。このような状況ではファイルが消失する・文字化けする状態になることもありえます。

5.ランプの異常点灯

雷が鳴った・落雷が生じた後にはNAS本体やHDDのステータスランプが通常とは異なるパターンで点滅する、点灯しっぱなしになることがあります。これも雷の影響による内部障害が原因である事が多く、ランプが赤や橙(オレンジ)色で点滅、点灯した場合にはデータが消失する危険性が高まっていることがほとんどで慎重な対応が求められます。データを失いたくない方はNASの電源を切ることを優先した方が良いものです。

6.NASが再起動を繰り返す

雷や不安定な電圧が影響となり、システムの不安定性が増すことでNASが勝手に再起動を繰り返す状態になることもありえます。これは内部の電源問題やシステムファイルの破損が原因で起こることが多いものです。

7.ネットワーク接続の不良

雷によってルーターやスイッチなどのネットワーク機器が故障すると、NASへのアクセスが不安定になる他、全く接続できなくなることもありえます。

8.異音の発生

電子部品が雷サージで損傷した場合にはNASの内部から異常な音(例えば、HDDからの異音)やビープ音が発生することがあります。
QNAP製のNASやSynology製のNASはビープ音で異常を知らせる機能が付いているモデルもあります。

雷の影響で瞬電(短時間の電圧低下や消失)や停電が発生することはよくあります。これらの現象は、NASに以下のような影響を与えることがあります。

雷による瞬電・停電がNASに与える影響


雷が発生すると瞬電や停電が起きることが多く、NASを運用する上では注意が必要となるものです。下記は雷によって瞬電や停電が起きた際にNASに与える影響例です。

  1. NASが突然、シャットダウンする
  2. データの整合性が崩れる
  3. HDDが故障する
  4. NASの設定やシステムが破損する

1.NASが突然、シャットダウンする

雷が発生すると瞬電や停電が起こり、その結果、NASが突然シャットダウンすることがあります。このような予期しないシャットダウンは、データが正しく保存されないまま終了するため、データ損失やファイルシステムの破損が発生するリスクが高まるものです。

2.データの整合性が崩れる

NASが雷による瞬電や停電が起きたことによって動作を中断した場合には、データの書き込みが不完全な状態で終了することがあります。その結果、データの不整合や破損が発生し、特定のファイルが開けなくなることがあります。

3.HDDが故障する

雷によって瞬電や停電が頻繁に発生すると、HDDの回転が急激に止まることが繰り返されるため、HDDの寿命が縮む他、ディスク内のヘッドと呼ばれる針状の部品がプラッタと呼ばれる円盤状のデータを保存している部品を接触、癒着することでプラッタ上に傷や溝を作る・データが入っている箇所そのものをえぐり取ってしまうこともありえます。これにより、NAS内のデータが失われる事態に直結することも多く、注意が必要となります。

4.NASの設定やシステムが破損する

NAS内でシステムファイルや設定が保存されている最中に雷によって瞬電や停電が起きるとファームウェアや設定ファイルが破損し、正常に起動しなくなる事態に陥ってしまうこともありえます。

瞬電とは?

瞬電とは電力供給が一時的に停止または低下する現象のことを指します。この現象は通常、数ミリ秒から数秒程度の短時間で発生し、その後、電力供給が元に戻ります。瞬電は雷や電力網のトラブルなどが原因で発生することが多いものです。

  1. 瞬電の主な特徴
  2. 瞬電が引き起こす問題

1.瞬電の主な特徴

・短時間の電力喪失

瞬電は、短時間の電力喪失が特徴で、長時間の停電とは異なるものです。

・電子機器への影響

瞬電が発生すると、パソコンやNASなどの電子機器が一時的に停止することがあります。これにより、作業中のデータが失われる他、機器が正しく動作しなくなる事態に直結することもありえます。

・日常的に発生する可能性

瞬電は日常的に発生する可能性があり、雷や電力網の不安定さが原因で起こることが多いものです。

2.瞬電が引き起こす問題

・データの損失

瞬電によってデータが正しく保存されず、損失するリスクが高まります。

・機器の誤作動

瞬電が起きると電力不足が一時的に発生することによってNASやパソコンなどの機器が誤作動を起こすことがあります。

・ハードウェアの損傷

瞬電が頻繁に発生するとNASやパソコンなどの電子機器内のハードウェアが損傷することもあります。

※瞬電は、短時間であっても電子機器やデータに深刻な影響を与える事が多いため、適切な対策が求められるものです。

停電とは?

停電とは、電力供給が完全に停止し、電気が使えなくなる状態のことを指します。停電は数分から数時間、時には数日間続くこともあります。停電の原因としては、自然災害(雷、台風、地震、豪雨、暴風など)や電力供給設備の故障、計画的な電力停止などが考えられるものです。

  1. 停電の主な特徴
  2. 停電が引き起こす問題

1.停電の主な特徴

・電力供給の完全な停止

停電時には電力が一切供給されなくなるため、NASやパソコンに限らず、電気を使用する全ての機器の動作が停止します。

・広範囲に影響を与える可能性

停電は、家単位、地域単位、あるいは広域に渡る場合もあり、多くの人々や施設に影響を及ぼすことがあります。

・予告なしに発生することもある

自然災害(雷、台風、地震、豪雨、暴風など)や予期しない事故によって、突然停電が発生することがあります。

2.停電が引き起こす問題

・データの損失

停電が起きると動作していたパソコンやNASなどが突然停止するため、保存されていないデータの他、機器に保存されている全てのデータが失われる事態に陥ってしまうこともありえます。

・機器の損傷

停電の後、電力が復旧する際に電圧が急激に変化すると電子機器が損傷するリスクが高まります。

・作業の中断

停電により、すべての電気を使用する作業が中断されるため、生活や業務に支障をきたすことがあります。

※停電は日常生活や業務に大きな影響を与えるため、特にデータを扱う機器を使用している場合には停電対策を行っておくことも重要となります。しかしながら、停電対策を行っていたとしてもNASが壊れてしまうことは多く起こりえるものです。雷によって停電が起きた後にNASに不具合が生じた時にはデータが失われる危険な状態に陥っていることが大半で、慎重な対応が求められます。

↓停電の後、NASに不具合が生じた時にはこちらの記事もご確認ください。

雷によってNASに不具合が出た時の対処方法


雷によってNASに不具合が発生した場合に試せる対処方法を紹介します。

  1. 電源周りを確認する
  2. 再起動する
  3. エラーメッセージを確認する
  4. ネットワーク環境を見直す
  5. バックアップを取る
  6. HDDの確認や交換を行う
  7. 復旧業者に相談する

1.電源周りを確認する

雷が発生した後にNASが起動しなくなった場合には、まず電源ケーブルが正しく接続されているか、電源が入っているか確認することから始めましょう。NASが起動しない状態に陥った時にはケーブルを他の電源コンセントに接続してみることも有効な手段になりえます。しかしながら、雷によって瞬電や停電が起きた事が原因でNAS本体や内蔵HDDやSSD、基板などが物理的・機械的に故障することも多く、他の電源コンセントに接続するだけで機器に致命傷を与えてしまうこともありえます。雷が発生した後にNASに何かしらの症状が出た際にデータを失いたくない方は早めにプロのデータ復旧業者の無料相談を利用することを検討しましょう。

↓NASが起動しない状況でお困りの方はこちら

2.再起動する

雷の発生後、NASが動作しているが不安定な場合には一度電源を切り、数分待ってから再起動する方法も簡単に試せる対処方法として挙げられるものです。一時的なエラーが原因でNASにトラブルが発生している時には問題の解決が見込めます。しかしながら、雷が発生した・瞬電や停電が起きた後にNASにアクセスができない・管理画面に入れない・ファイルやフォルダが開かないなど、通常の操作ができなくなった場合には雷によってNASや内蔵部品が故障していることが大半で再起動など簡単にできることを試すだけで状態が重篤化してしまうこともありえます。NAS内のデータが大事・無くなったり取り出しができなくなったりしたら困ると少しでも考えた場合には余計な作業を進めて後悔する前に専門家に相談することを優先しましょう。

※1台のパソコンのみが雷の後にNASに接続ができなくなった場合にはNAS側ではなく、パソコン側に問題が生じていることもありえます。そんな時にはパソコンを再起動する方法が自分で試せる対処方法として有効な手段になりえます。しかしながら、雷が発生した後に複数の端末(複数のパソコンやタブレット、スマートフォンなど)からNASにアクセスができなくなった場合にはNAS側に問題が生じていることが大半であるため、慎重な対応が求められるものです。

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3.エラーメッセージを確認する

雷が生じた後にNASに不具合が発生した場合にはNASの管理画面や筐体の液晶画面、接続しているパソコンなどにエラーメッセージが表示されていないかを確認しましょう。エラーメッセージの内容によってNASに不具合が出た原因を推測できることがあります。
※エラーメッセージは一度に複数、表示されることもあります。また、エラーメッセージの内容だけではNASに生じた不具合の原因を特定することが難しいことも多いため、まずはエラーメッセージの内容をメモに取る・写真で撮るなどを行うことが重要となります。HDDや基板の故障やファームウェアの損傷が疑われるエラーメッセージを確認した際には安易に作業や操作を進めると全てのデータが消失する事態に直結することも多いため、NAS内のデータを失いたくない・早く安く確実に問題を解決したいと思った時にはプロのデータ復旧業者に相談することを優先しましょう。

4.ネットワーク環境を見直す

雷が鳴った・光った後にNASにアクセスができないなどのトラブルが生じた場合には、ルーターやスイッチなどのネットワーク機器が正常に動作しているか確認することも有効な対処方法になりえます。パソコンやタブレット、スマートフォンなどの端末からインターネットに繋がらない・メールの受信ができない・アプリが開かないなどの不具合が出た際にはこれらの機器が雷の影響を受けている事もありえます。そんな時にはルーターやスイッチなどのネットワーク機器を再起動する・交換を試みる方法が自分で試せる対処方法として挙げられます。

5.バックアップを取る

雷が発生した後にNASの動作が不安定であっても使える状態であれば、データのバックアップを取ることも考えましょう。しかしながら、無理は禁物です。雷によってすでにNAS内のHDDやSSDに機械的・物理的な障害が発生している時にデータの読み書き、コピー、移動作業を行うとディスクの故障具合が悪化することもありえます。そもそも、雷が鳴っている、光っている時には瞬電が起きていることも多く、そんな時にNAS内のバックアップを取ろうと操作や作業を進めるとデータが意図しない形で上書きされる・ファイルシステムが損傷する・RAID崩壊を引き起こす事態に直結することもありえます。雷がNASに与える影響は大きいため、失敗したくない・データを失いたくない方は機器の電源を切ることが最善の対処方法としても挙げられるものです。

6.HDDの交換を行う

雷によってNAS内のHDDが故障することは多く、雷が発生した後にNASが起動しない・共有フォルダにアクセスができない・エラーメッセージが表示される・筐体のランプが赤やオレンジ色で点灯、点滅する等の症状が出た際には交換が疑われるHDDを交換する方法が自分で試せる対処方法として挙がってきます。
しかしながら、雷が発生した際には瞬電や停電が起きていることが大半で、雷の影響でNASに搭載されているHDDが1台ではなく、複数、同時に故障もしくは壊れかけているものです。そんな時に特定のHDDを交換しても問題が解決できないばかりかHDDの交換後に自動的に実施されるRAIDのリビルド(再構築)によって全てのデータが消失する事態に直結することも多く、注意が必要となります。
NAS内に保存しているデータを失いたくない方はトラブルが発生した後にすぐにHDDの交換を行う方法は試さないようにした方が良いものです。どうしてもHDDの交換を行ってみたいと考えた時にはプロのデータ復旧業者の無料相談を利用してから作業を進めても遅くはありません。

7.復旧業者に相談する

雷が発生した後にNASが正常に動作しない・使えなくなってしまった場合には慌ててしまうことも多いものです。不具合が出たNAS内のデータが大事・無くなったり取り出しができなくなったりしたら困ると少しでも考えた場合にはデータ復旧業者の無料相談を利用することが問題解決への近道となります。
NASに保存しているデータが不要・消えても良い方はメーカーや修理の専門会社にNASを修理に出す方法も選択肢の1つに挙がってきますが、メーカーや修理の専門会社にNASを修理に出した場合には内蔵HDDは初期化される、もしくは新しいディスクに交換された上での修理対応となるため、NAS自体は動作可能な状態に戻ることが見込めるものの、データの救出や復旧作業は行われず、NASに入っていたデータは全て消去された上で手元に戻ってくることになります。また、修理期間も数週間から数か月単位と長期間に渡ることが大半で、NASを預けている間は業務が滞ってしまう事態に直結する事もありえます。不具合が生じたNASから早く安く確実にデータを取り出したいと少しでも考えた際にはプロのデータ復旧業者に相談することを優先しましょう。

・データ復旧業者の選び方

データ復旧業者は数多く存在しており、どこの復旧会社に相談したら良いのか悩んでしまうかもしれません。そんな時に少しでも悩んだり困ったりした場合には、下記のような点をチェックしましょう。選択がスムーズになります

  1. 高度な技術力を持っている(独自技術やAI技術の有無)
  2. 復旧、修理に要するスピードや対応が早い
  3. 料金プランや復旧費用例がホームページに記載されている
  4. クリーンルームなど専用環境下で復旧・修理作業を行っている
  5. 情報の守秘義務・セキュリティ管理が万全
  6. 復旧実績・復旧事例の有無

アドバンスデータ復旧は1から6の項目、全てを満たしているおすすめのデータ復旧業者です。独自技術やAI技術を持っており、高度な技術力でトラブルが発生した機器に対して復旧・修理作業を行うからこそ、迅速な対応と低価格でのデータ復旧サービスを実現しています。Buffalo製・IODATA製・QNAP製・Synology製など様々なメーカーのNASやRAIDサーバー、外付けハードディスク、SSD、パソコン(Windows・Mac・自作・タブレット型)、SDカード、USBメモリなど多様な機種に対して復旧実績も多くあり、安心です。

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雷が発生しやすい時期

雷が発生しやすい時期は、主に以下の季節に集中します。

・夏(6月~8月)

日本では特に夏季に雷が頻繁に発生します。これは日中の気温が上昇し、大気中の不安定な状態が生じやすくなるためです。強い上昇気流が発生し、積乱雲が形成されやすくなります。

・梅雨の時期

梅雨の後半(6月から7月頃)には大気の状態が不安定になりやすく、雷を伴った激しい雨が降ることがあります。

・秋(9月~10月)

秋にも、台風や寒冷前線の通過に伴って雷が発生することがあります。

これらの時期には雷対策をしっかりと行い、特に屋外での活動や電子機器の使用に注意が必要となります。

NASに対する有効な雷対策


雷による被害からNASを守るためには、以下の対策を講じることが有効な手段になりえます。

  1. UPS(無停電電源装置)の導入
  2. 雷サージプロテクタの使用
  3. 定期的なデータバックアップ
  4. NASの設置場所の工夫
  5. 雷が多い時期の電源オフ

1.UPS(無停電電源装置)の導入

UPS(Uninterruptible Power Supply、無停電電源装置)は、雷などの影響で停電や電力の不安定な状態(瞬電や電圧変動)が発生した際に電子機器を保護するための装置です。UPSは電力供給が途絶えた際に一時的にバッテリーで電力を供給するため機器が正常に動作を続けるか、安全にシャットダウンできるよう選択することが可能でデータの損失やNASの故障を防ぐことが見込めるものです。

・UPSの主な役割

停電時の電力供給:雷などが発生し停電が起きてもUPSがバッテリーを使って一時的に電力を供給することができるため、データの保存やシステムの安全なシャットダウンが可能となります。
電圧変動の保護:雷によって瞬間的な電圧低下や電圧の変動が発生してもNASなどの機器を保護し、安定した電力供給が可能です。

UPSの導入はパソコン、NAS、サーバーなどの重要な機器を保護するために広く使われており、停電時のデータ損失や雷による機器の故障を防ぐために非常に有効な手段になりえます。

2.雷サージプロテクタの使用

電源やLANケーブルに雷サージプロテクタを設置することで雷による瞬間的な高電圧(サージ)からNASを保護することが可能となります。これは、雷が直接的に電力線や通信線を通じて機器にダメージを与えることを防ぐために重要となります。

・雷サージとは

雷サージとは、雷が発生した際に電力線や通信線を通じて瞬間的に発生する高電圧の電気的な波(過渡電圧)のことを指します。この現象は雷が直接建物や電線に落ちた場合だけでなく、近くに雷が落ちた場合にも発生することがあり、注意が必要となります。

・雷サージの主な特徴

特徴 説明
瞬間的な高電圧 雷サージは非常に短時間で通常の電圧を大きく超える高電圧が発生します。
広範囲への影響 雷が落ちた場所から数キロメートル離れた場所にも影響が及ぶことがあります。
電気機器へのダメージ 電源ユニットや電子回路が損傷し、NASやパソコンなどの電子機器が故障するリスクが高まります。

3.定期的なデータバックアップ

万が一のNASの故障に備え、定期的にデータを別の場所にバックアップしておくことも重要です。外部のHDDや別のNAS、クラウドストレージにバックアップを取ることで、雷によるデータ損失のリスクの軽減が見込めます。

4.NASの設置場所の工夫

NASを屋外の配線や窓際から離れた、安全な場所に設置することも重要です。これにより、雷が直接的に配線を通じてNASに影響を与えるリスクを減らすことができます。

5.雷が多い時期の電源オフ

雷が頻繁に発生する時期には、使用しない時にはNASの電源を切り、電源プラグを抜いておくことでリスクをさらに低減することが見込めます。

これらの対策を組み合わせることで、雷によるNASへの被害を最小限に抑えることができます。しかしながら、雷対策をしっかりと行っていてもNASは永久的には使えず、経年劣化(自然故障や寿命)で壊れる他、雷によって多大なダメージを受けてしまうこともありえます。NAS内のデータが不要な方はNASを修理に出すことを検討しましょう。雷が発生した後にNASに不具合が起きた際に機器内のデータが大事・無くなったり取り出しができなくなったりしたら困ると少しでも考えた場合にはデータ復旧業者に相談することを優先した方が良いものです。

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UPSの種類と製品の特長


UPSの種類と各製品の特長を以下の表にまとめました。

UPSの種類 特長 製品例 主な用途
オンラインUPS 常時インバータを通して電力供給が可能・無停電時に電源を完全に供給できる・電力供給の品質が非常に高い APC Smart-UPS On-Line、Eaton 9PX、CyberPower OL1500RTXL2Uなど 重要なサーバーやデータセンターの保護に最適・高信頼性が要求される環境向け・業務用システムやクリティカルな機器用
ラインインタラクティブUPS 通常時は商用電源を供給可能・電圧変動時にインバータが動作する・手頃な価格と性能のバランスが良い APC Smart-UPS、CyberPower CP1500PFCLCD、Eaton 5SCなど 中小企業や家庭用NAS、PCに適したバランス・デスクトップPCやネットワーク機器向け・オフィス環境や中小企業のサーバーのデータ保護に向いている
オフラインUPS コストが最も低い、通常時は商用電源をそのまま供給が可能、電力供給が途切れた場合のみ、バッテリーが動作する APC Back-UPS、CyberPower EC650LCD、Tripp Lite ECO650LCDなど 家庭用PCや低重要度の機器に適している・ホームオフィスや小規模ネットワーク機器、コスト重視の家庭用または個人向け

・UPSの種類に応じた選び方

オンラインUPS:常にインバータを通じて電力を供給するため電力の品質が非常に高く、重要なサーバーやクリティカルなシステムに適しています。停電や電圧変動に強いのが特徴です。
ラインインタラクティブUPS:通常時は商用電源を供給し、電圧変動があった場合にインバータが動作します。中小企業のサーバーやネットワーク機器、家庭用のNASに適しています。コストと性能のバランスが良いUPSになります。
オフラインUPS:通常時は商用電源を直接供給し、停電時のみバッテリーから電力を供給します。価格が安く、家庭用PCや低重要度の機器に適していますが、電力供給の品質は他の種類に比べて劣る点があります。

雷や瞬電、停電対策でUPSを導入する際には使用する機器や予算に応じて適切なUPSを選びましょう。

NASとUPSを接続する方法

NASをUPS(無停電電源装置)に接続することで、雷や台風、地震、豪雨、暴風などの自然災害の影響で停電や瞬電が起きてもNASを安全にシャットダウンすることができ、データの損失を防ぐことが見込めます。以下ではNASとUPSを接続するための手順をまとめています。

  1. 必要な機器とケーブルを準備する
  2. UPSとNASを接続する
  3. NASの設定を行う
  4. UPS側の設定を行う(必要に応じて)
  5. 定期的なメンテナンスを実施する

1.必要な機器とケーブルを準備する

・UPS本体:選定したUPSを準備します。NASに適した容量のものを選ぶことが重要です。
・NAS本体:UPSに接続するNASを用意します。
・USBケーブル:UPSとNASを通信させるためにUPS付属のUSBケーブル(または適合するケーブル)も必要です。

2.UPSとNASを接続する

・電源接続:NASの電源ケーブルをUPSのバッテリー保護コンセントに接続します。これにより、停電時にUPSがNASに電力を供給が可能となります。
・USBケーブル接続:NASとUPSをUSBケーブルで接続します。UPSのUSBポートとNASのUSBポートをケーブルで繋ぐことで、NASがUPSの状態を確認できるようになります。

3.NASの設定を行う

・NASの電源管理設定を確認:NASの管理画面にログインし、電源管理やUPSの設定項目を開きます。
・UPSの設定:NASに接続されたUPSを検出するオプションを有効にします。多くのNASでは、USBケーブルを接続すると自動的にUPSを認識し、設定画面に表示されるものです。
・シャットダウンポリシーの設定:停電時のシャットダウンポリシーを設定します。例えば、「バッテリー残量がX%以下になった場合に自動的にシャットダウンする」といった設定が可能です。これにより、バッテリー残量が無くなる前に安全にNASをシャットダウンすることが見込めます。

4.UPS側の設定を行う(必要に応じて)

・UPSの設定を確認:UPS自体に設定機能がある場合にはソフトウェアをインストールしてUPSの動作モードや通知設定を確認・調整します。
・UPSのテスト:NASとUPSが正常に連動しているか確認するため、UPSのテストモードを使用して停電シミュレーションを行います。NASが正しくシャットダウンするか確認しましょう。

5.定期的なメンテナンスを実施する

・バッテリーの状態確認:定期的にUPSのバッテリー状態をチェックし、必要に応じて交換を行いましょう。これにより、NASを保護できる状態が継続可能となります。
・接続状態の確認:USBケーブルの接続やUPSの設定が正しく機能しているか、定期的に確認します。

上記のような流れでNASとUPSを接続することで、停電や雷などの電力トラブルに対してNASを保護し、データの安全性を確保することが見込めます。

雷が鳴った後、NASに不具合が生じた時にやってはいけないこと

雷による影響でNASに不具合が生じた時には下記のような行動は避けましょう。これらの行動は状況を悪化させる事が多く、注意が必要となります。

  1. 通電し続ける
  2. NASの再起動を繰り返す
  3. HDDを直接、パソコンに接続する
  4. データ復旧ソフトを使用する
  5. 分解、開封する
  6. 操作や作業を続ける

1.通電し続ける

雷が発生した後にNASに接続ができない・起動しない・エラーメッセージが表示される・ランプが赤やオレンジで点灯、点滅する・ビープ音や異音が鳴るなど、何かしらの症状が出た際にNASに保存しているデータを失いたくない方は本体の電源を切り、ケーブル類も抜いて電気が通らない様にすることが最善の対処方法にもなりえます。自然災害(雷、台風、地震、豪雨、暴風)の影響で停電や瞬電が起きることは多く、NASが正常に動作しない状態に陥った時には内蔵HDDが物理的・機械的に故障していることが大半で、通電し続けるだけでもディスクに大きな負荷がかかり、全てのデータが消失する危険性が高まることも多いものです。

2.NASの再起動を繰り返す

雷によってNASにハードウェアやソフトウェアの問題が発生している場合には再起動を繰り返すとさらに状況を悪化させる事が多く、注意が必要となります。特にHDDが少しでも損傷している場合には再起動を行うたびにヘッドと呼ばれる部品が動作してデータが入っているプラッタに接触し、傷や溝の数が増える他、データが保存されている箇所そのものをえぐり取ってしまうこともありえます。雷によってNASにトラブルが発生した場合に機器内のデータを失いたくない方は再起動もできれば行わないようにした方が良いものです。
同様に電源の入り切りを試すことも避けましょう。雷の影響で電源系統やNASの内部部品が損傷している場合に無理に電源を入れ直すと完全に動作不能になるリスクが高まります。まずは、専門業者に連絡してから対応することが安全です。

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3.HDDを直接、パソコンに接続する

雷が鳴ったり、光ったりした後にNASにトラブルが発生した場合に中のデータを取り出そうと内蔵HDDをNASから取り外してパソコンに直接、接続することは避けた方が良いものです。
NASに搭載されているHDDは複数のディスクを使ってRAIDを構築していることから、ファイル形式やシステムも特殊なものが採用されています。そのため、外付けのハードディスクやポータブルSSD、USBメモリなどパソコンに繋いですぐに使える機器とは違い、NAS内のディスクを単体でパソコンに接続しても使えない仕様になっているものです。
NASに不具合が出た際に内蔵HDDを取り外すことはデータが消失する危険な行為にもなりえます。NASに搭載されているHDDを直接、パソコンに接続するだけでデータが意図しない形で上書きされる・ファイルシステムが損傷する・ディスクの状態が悪化するなど後悔する結果に直結することもありえます。
HDDの状態を確認しようとしてもパソコン上では中身を見ることはできない他、HDDに生じた障害(物理障害もしくは論理障害)、障害の程度(軽度・中度・重度)、損傷箇所の特定などを正しく判別するためには専門知識や技術力、経験値も必須となるものです。
雷によってNASに不具合が出た際に早く安く安全にデータを取り出したい方はNAS本体からHDDを取り外す事やPCに直接繋ぐ・状態を確認するような事は試さない様にしましょう。

↓NASからデータを取り出したい・復旧したいと考えた場合はこちらも参照ください。

4.データ復旧ソフトを使用する


雷が原因でNASに不具合が生じている時には物理障害が発生しているものです。そもそも、データ復旧ソフトは軽度の論理障害にしか対応していない他、NASなど複雑なシステムで動いている機器に対しては復旧ができないことの方が多く取扱いが注意となります。
雷が発生した後にNASに問題が起きた時には市販のデータ復旧ソフトを使っても不適切な操作やソフトの仕様によってデータがさらに破損する事もあります。特にハー
ドウェア的な損傷がある場合は、ソフトウェアでの復旧は逆効果になることがあるため、NAS内のデータが大事・無くなったり取り出しができなくなったりしたら困ると少しでも考えた場合にはデータ復旧ソフトの機能は使わないようにしましょう。

5.分解、開封する

雷が発生した後、NASに何かしらの症状が出ている場合には内蔵HDDが物理的・機械的に故障していることが大半です。そのため、NASから安全にデータの復旧や修理作業を進めるためにはクリーンルームなどの専用環境下で専門の技術員が対応を行う必要が出てきます。人間の手術を専門の手術室で専門の医師が行うのと同じイメージです。雷によってNASに不具合が発生し、起動しない・共有フォルダにアクセスができない・エラーメッセージが表示される・ランプが赤色やオレンジに点灯、点滅する・異音やビープ音が鳴るなどの症状が出た際にオフィスや普通の部屋で安易にNASを開封・分解する他、出張業者に復旧や修理作業を依頼する・クリーンルームなどが無い環境下でNASおよびHDDの開封・分解を行うとそれだけで全てのデータが失われるリスクが高まるものです。雷によって不具合が生じたNASから早く安く確実にデータを取り出したい場合にはクリーンルームを完備したデータ復旧業者に相談することを優先しましょう。

↓NASの修理を行いたいと考えた場合にはこちらの記事もご確認下さい。

6.操作や作業を続ける

雷が発生した後にNASに何かしらの不具合が出ることは多いものです。トラブルが発生したNAS内のデータを失いたくない方は手を止めることが最善の対処方法にもなりえます。雷が原因でNASに内蔵されているHDDが物理的・機械的に故障する事は多く、慌てて電源の入り切りや再起動、ケーブルの抜き差しなど簡単にできることを試すだけでも機器に致命傷を与えてしまう他、操作や作業を進めるとそれだけで取り返しのつかない状況に陥ってしまうこともありえます。無理やりバックアップを取る・データの読み書きや設定の変更を行う事なども行わない様に注意しましょう。雷の影響で問題が出たNASを使おうとすればするほど状態は重篤化していきます。少しでも困ったり悩んだりした際には手を止めて、データ復旧業者の無料相談を利用することを優先しましょう。

まとめ・万が一、困った時には

雷が発生する季節はNASへの影響を最小限に抑えるための対策が欠かせません。しかしながら、どんなに気を付けていても対策を行っていても雷によってNASが故障する他、正常に動作しなくなることは誰にでも起こりえるものです。雷が原因でNAS内の内蔵HDDや重要基板、ファームウェアなどが損傷した際には個人で対処できない重篤な障害が発生していることも多く、注意が必要となります。電源の入り切りや再起動など簡単にできることを試すだけで機器に致命傷を与えてしまうこともありえます。雷が生じた後、NASが起動しない・共有フォルダにアクセスができない・ファイルやフォルダが開かない・管理画面に入れない・ランプが赤やオレンジ色で点灯、点滅する・ビープ音や異音が鳴るなどの症状が出た際には手を止めることを優先しましょう。万が一、少しでも困ったり悩んだりした際にはプロのデータ復旧業者の無料相談を利用することで不安も解消されてすぐにデータも戻ってきます。アドバンスデータ復旧は「独自技術」や「AI技術」を持っており復旧料金も抑えられます。質問にも親身に対応してくれるのでおすすめです。

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