SynologyのNASはデータの保存やバックアップ、ストリーミングなど、多用途に活用される便利なネットワークストレージデバイスの1つです。しかしながら、ある日突然「NASが起動しない」「電源が入らない」「電源LEDが青く点滅したままになる」「HDDのLEDが点灯しない」「Synology AssistantでNASが検出されない」といったトラブルが発生すると、重要なデータにアクセスができなくなり、業務や日常の作業に大きな影響を及ぼすことがあります。
SynologyのNASが起動しない原因は様々で、電源供給の問題やHDDの不具合、DSMのシステム障害などが考えられるものです。まずは、正常に起動しなくなったSynologyのNASにどのような症状が出ているかを確認して、適切な対処方法を見つけることが重要となります。
本記事では、SynologyのNASが起動しない場合に試せる対処方法や注意点などを詳しく解説していきます。SynologyのNASにトラブルが発生した時には、焦らずに一つずつ確認して、適切な方法で問題を解決していきましょう。
Synology NASが起動しない時に生じる症状例
Synology NASが正常に起動しない場合には、以下のような症状が出ることがあります。
- 電源が入らない
- 電源LEDが青く点滅したままになる
- HDDのLEDが点灯しない
- Synology AssistantでNASが検出されない
- ファンは回るがNASが起動しない
1.電源が入らない
SynologyのNASが起動しない場合には電源ボタンを押しても反応せず、LEDが点灯しないことがあります。
2.電源LEDが青く点滅したままになる
SynologyのNASが正常に起動しない場合には、電源LEDが青く点滅したままになることがあります。この状態では、DSMが正しく起動していない、またはハードウェアの問題が発生している可能性を示していることが大半です。
3.HDDのLEDが点灯しない
SynologyのNASが起動しない際にHDD LEDが点灯していない時には内蔵HDDが認識されていない事が推測されるものです。
4.Synology AssistantでNASが検出されない
SynologyのNASが起動に失敗した際にはSynology AssistantでNASが検出されない状態になることもありえます。
5.ファンは回るがNASが起動しない
電源供給に問題がなく、ファンは正常に回転しているにも関わらず、SynologyのNASが起動しない場合にはハードウェア障害やシステムの不具合が発生していると考えられるものです。
Synology NASが起動しない場合の7つの対処方法
Synology NASが起動しなくなった時には、適切な対処方法を選択することが重要となります。ここでは、7つの具体的な対処方法を詳しく解説していきます。
- 電源周りを確認する
- HDDを取り外して起動テストを行う
- Synology AssistantでNASを検出し、状態を確認する
- DSMを再インストールする
- NASをリセットする
- USBリカバリーを試す
- 復旧業者に相談する
1.電源周りを確認する
SynologyのNASが起動しない・電源が入らない等のトラブルが発生した時に簡単に試せる対処方法としては電源ケーブルやアダプターを確認する方法が挙げられます。
- 別のコンセントや電源タップに接続し直す
- HDDを取り外して起動テストを行う
- 純正の電源アダプターを使用する
1.別のコンセントや電源タップに接続し直す
SynologyのNASが起動しない時にはコンセントや電源タップが故障している可能性があります。別のコンセントや電源タップに接続し直して、正常に動作するか確認してみましょう。
過電流保護機能が働いている場合には、一度電源タップの使用を止めた方が良いものです。
2.ACアダプターのランプが点灯しているかをチェックする
SynologyのNASが起動しなくなった時には、純正のACアダプターのLEDインジケーターが点灯しているか確認することも重要となります。ランプが点灯していない場合には、アダプターの故障が疑われるため、予備のACアダプターがあれば交換する方法が有効な手段になりえます。
3.純正の電源アダプターを使用する
非純正の電源アダプターを使用すると電圧や電流が合わず、Synology製に限らず、NASが正常に起動しなくなることがあります。アダプターを交換する際には、互換性を確認した上で適切なアダプターを使用するようにしましょう。
・電源LEDが青く点滅したままの状態でSynologyのNASが起動しない場合の対処方法
SynologyのNASの電源LEDが青く点滅し続ける場合には、DSMが正常に起動できていない可能性があります。そんな時には下記のような対処方法が選択肢に挙がってくるものです。
- SynologyのNASの電源を切り、ACアダプターを抜いて5分程度待つ
- HDDをすべて取り外し、NAS単体で電源を入れてみる
- Synology AssistantでNASが検出されるか確認する
- DSMのリカバリーモードを試す
※2以降の詳細な手順は、後のセクションで詳しく解説しています。
2.HDDを取り外して起動テストを行う
SynologyのNASが起動しなくなった時には内蔵HDDを全て取り外した上で起動テストを行うと問題発生の原因が筐体(NAS本体)になるのかHDDにあるのかを判別することが可能になります。
- HDDをすべて取り外し、NAS単体で起動を試す
- HDD無しで電源LEDが点灯するならHDDの問題
- HDDのS.M.A.R.T.情報をPCで確認し、エラーがないかを調べる
1.HDDをすべて取り外し、NAS単体で起動を試す
SynologyのNASが起動しない時には、NAS本体の電源をオフにしてからHDDを取り外す方法が試せます。HDDが故障している場合には、NAS本体のみで起動すると電源LEDが正常に点灯することがあります。
2.HDD無しで電源LEDが点灯するならHDDの問題
起動しなくなったSynologyのNASからHDDを全て取り外して機器が動作できるようであれば、特定のHDDがNASの起動を妨げている可能性が考えられるものです。そのような場合には1台ずつHDDを戻しながらテストする方法が試せます。特定のHDDを筐体に戻した際にSynologyのNASが起動しなくなった場合にはそのHDDが故障している可能性が高いと判断できます。
3.HDDのS.M.A.R.T.情報をPCで確認し、エラーがないか調べる
SynologyのNASに搭載されていたHDDの故障が疑われる場合には、そのHDDをPCに接続して、「CrystalDiskInfo」などのツールでS.M.A.R.T.情報を確認する方法も選択肢に挙がってきます。診断ツールで「異常」や「警告」などの表示になった時には、HDDが故障していると考えられるため、HDDの交換を検討する必要が出てきます。
※SynologyのNASが起動しない、共有フォルダにアクセスができない、機器が使えないようなトラブルが発生した時には、データが保存されているHDDが物理的・機械的に故障していることが大半で、慎重な対応が求められます。電源の入り切りや再起動、ケーブルの抜き差しなど簡単にできることを行っただけでも機器に致命傷を与える他、HDDをNASから取り外して起動テストを行うとその過程でHDDが取り返しのつかないくらい壊れてしまうことも多く起こりえるものです。起動しなくなったSynologyのNAS内のデータが大事・無くなったり取り出しができなくなったりしたら困ると少しでも考えた場合には手を止めてデータ復旧の専門業者の無料相談を利用することを検討しましょう。相談してから作業を進めても遅くはないものです。
3. Synology AssistantでNASを検出し、状態を確認する
SynologyのNASが正常に起動しない、機器にアクセスができないような場合にはSynology Assistantを使ってNASを検出することも重要となります。
- 「find.synology.com」またはSynology AssistantでNASを探す
- NASがIPアドレスを取得しているか確認する
- LANケーブルの交換、ルーターの再起動を試す
1.「find.synology.com」またはSynology AssistantでNASを探す
データを使用したいSynologyのNASがネットワーク上にあるかを確認するためには、「find.synology.com」またはSynology Assistantを使いましょう。
2.NASがIPアドレスを取得しているか確認する
SynologyのNASが起動しない・アクセスができないなどの問題が出た時にはルーターの管理画面でNASのIPアドレスが取得されているか確認することも重要です。IPアドレスが表示されない場合にはDHCP設定を見直しましょう。
・Synology AssistantでNASが検出されない場合の対処方法例
- Synology Assistantを開き、「検索」をクリックする
- NASがリストに表示される場合→IPアドレスを確認し、DSMにアクセスする。
- NASがリストに表示されない場合→LANケーブルの交換や、ルーターの再起動を試す。
- それでも検出されない場合→IPアドレスの手動割り当てを試すか、別のネットワーク環境で再試行する。
3.LANケーブルの交換、ルーターの再起動を試す
SynologyのNAS側に問題は無く、LANケーブルやルーターの不具合によって症状が発生していることも少なからず、ありえるため、NAS以外の状態を確認する方法も有効な手段になりえます。
LANケーブルの断線やルーターの不具合がないかチェックする、別のLANポートに差し替える、新しいLANケーブルを試す、ルーターを再起動をするなどを行い、NASが認識されるか確認してみましょう。
↓SynologyのNASにアクセスができない状況でお困りの方はこちらも参照ください。
4.DSMを再インストールする
SynologyのNASが起動しない・機器に保存しているデータが使用できなくなった時にはDSMを再インストールする方法も自分で試せる対処方法として挙げられます。
- HDDをNASに戻し、Synology AssistantからDSMを再インストールする
- 手動で最新のDSMをダウンロードしてインストールする
- リカバリーモードを利用する
1.HDDをNASに戻し、Synology AssistantからDSMを再インストールする
DSMの再インストールはSynology Assistantを使用することで実施が可能です。しかしながら、「未インストール」と表示されている場合には、手動でDSMをインストールする必要が出てきます。
2.手動で最新のDSMをダウンロードしてインストールする
最新のDSM はSynologyのホームページからダウンロードが可能です。ダウンロードした後にはSynology Assistantまたは、Web UIから手動でインストールを行いましょう。
3.リカバリーモードを利用する
DSMが正常にインストールできない場合には、リカバリーモードを利用する方法も選択肢の1つとして挙がってきます。リカバリーモードはNAS本体のリセットボタンを押しながら電源を入れることで切り替わりますが、NAS内のデータが消えてしまうこともある危険な操作であるため、注意が必要となります。
5.NASをリセットする
SynologyのNASが起動しない際にデータが不要、消えても良い場合にはリセットする方法が試せます。
- リセットボタンを4秒押して管理者パスワードをリセットする
- リセットボタンを2回押してネットワーク設定を初期化する
- 設定をやり直す
1.リセットボタンを4秒押して管理者パスワードをリセットする
管理者アカウントのパスワードをリセットしたい場合には、SynologyのNASのリセットボタンを4秒間押し、ビープ音が鳴ったら離すと対応が可能となります。
2.リセットボタンを2回押してネットワーク設定を初期化する
IPアドレスやアクセス設定をリセットしたい時には、リセットボタンの4秒押しを2回行いましょう。
3.設定をやり直す
上記のようなリセット方法を実行した後には、ネットワーク設定やDSMの管理者設定を再設定する必要が出てきます。また、リセットボタンを押す事でSynologyのNAS内のデータが全て消去される危険性もあるため、心配な方・データを失いたくない方は無理に作業を進めないように注意しましょう。
6.USBリカバリーを試す
一部のSynology製NASのモデルでは、USBメモリにリカバリー用のファームウェアを作成して、そこから問題を解決できることがあります。
- USBメモリにリカバリー用ファームウェアを作成する
- Synologyのホームページの内容に従って作業する
- リカバリーが成功すればDSMを再インストールする
1.USBメモリにリカバリー用ファームウェアを作成する
一部のSynology製NASはUSBリカバリーモードに対応しています。リカバリー用ファームウェアをUSBメモリに作成してNASに適用する形になります。
2.Synologyのホームページの内容に従って作業する
SynologyのNASでUSBリカバリーの詳細を見て、ファームウェアをダウンロードして適応する。
3.リカバリーが成功すればDSMを再インストールする
USBリカバリーが完了した場合には、DSMを再インストールしましょう。その後、NASの設定を復旧する形になります。
7.復旧業者に相談する
SynologyのNASが起動しない状態に陥った時には慌ててしまうことも多いものです。SynologyのNASに保存しているデータが大事、無くなったり取り出しができなくなったりしたら困ると少しでも考えた場合には手を止めてデータ復旧の専門業者の無料相談を利用することを優先しましょう。Synology NASが起動しなくなる原因の多くは、HDDやSSDの物理的故障によるものです。電源の入り切りや再起動、ケーブルの抜き差しもHDDに負担をかけ、状態を悪化させる可能性があります。SynologyのNASが起動しなくなった場合に早く安く確実にデータを取り出すためにはNASに発生した障害(物理障害、論理障害もしくはその両方)、障害の程度(軽度・中度・重度)、損傷箇所の特定を行った上で深い専門知識と高い技術力、経験値を持った技術員が修理、データ復旧作業を行う必要が出てきます。SynologyのNASが起動しなくなった際に早く問題を解決したい、費用を抑えてデータを取り出したいと少しでも考えた場合には手を止めて専門業者の無料相談を利用した方が希望する結果に繋がります。
・データ復旧業者の選び方
SynologyのNASが起動しない等の問題が発生した時にデータの取り出しを希望される方は、まずはデータ復旧業者に相談することから始めましょう。復旧業者選びに悩んだ際には下記のような項目をチェックすることで困らずに済みます。
- 高度な技術力を持っている(独自技術やAI技術の有無)
- 復旧、修理に要するスピードや対応が早い
- 料金プランや復旧費用例がホームページに記載されている
- クリーンルームなど専用環境下で修理・復旧作業を行っている
- 情報の守秘義務・セキュリティ管理が万全
- 復旧実績・復旧事例の有無
アドバンスデータ復旧は1から6の項目、全てを満たしているおすすめのデータ復旧業者です。独自技術やAI技術を持っており、高度な技術力で復旧・修理作業を行うことから、迅速な対応と低価格でのデータ復旧サービスを実現しています。NASやRAIDサーバー、外付けハードディスク、SSD、パソコン、USBメモリ、SDカード、ビデオカメラ、ドライブレコーダーなど様々な機種に対して復旧実績も多くあり、安心です。
SynologyのNASが起動しない時にやってはいけないこと
Synology NASが起動しないと焦ってしまい、誤った対応を取ってしまうことがあります。しかしながら、間違った対処方法を進めてしまうと状況が重篤化してデータが消失したり、NAS本体が故障したりする危険性が高まります。ここでは、NASが起動しない時にやってはいけない7つの行動を解説します。
- HDDをフォーマットする
- NASを分解する
- 何度も電源を入れ直す
- HDDの交換を行う
- リセットボタンを安易に押す
- ファームウェアをアップデートする
- 自己流で復旧を試みる
1.HDDをフォーマットする
SynologyのNASが起動しないと「HDDが壊れているのでは?」と考え、NASから取り外してPCに接続し、フォーマットしようとする方がいます。しかしながら、これは大変危険な行為になりえます。
・HDDをフォーマットするとどうなる?
SynologyのNASは、独自のRAID・ファイルシステムを使用していることから、WindowsのパソコンやMacに直接、繋ぐと「フォーマットしますか?」と表示されることがあります。ここでフォーマットしてしまうと、データが完全に消去され、復元が難しくなる事態に直結してしまうものです。また、SynologyのNASではRAIDを構築していることが大半で1台のHDDをフォーマットするとRAID全体が破損する危険性も高まります。
・正しい対処方法
HDDはフォーマットせず、まずは別の方法でデータを救出できるか確認しましょう。
2.NASを分解する
「NASが起動しない=ハードウェアの故障」と思い込み、分解して内部を確認しようとする人もいますが、これは非常に危険な行動として挙げられます。
・NASを分解するリスク
基板やケーブルを傷つける可能性がある |
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電源ユニットに触れると感電の危険性がある |
専用の環境下(クリーンルームなど)で対応しないと状態が悪化する |
※起動しなくなったSynologyのNASの修理やデータ復旧作業を行う為にはクリーンルームなどの専用環境下で深い専門知識や高度な技術力、経験値を持った専門の技術員が安全に機器を開封・分解して修理・復旧作業を進める必要が出てきます。人間の手術を専門の手術室で専門の医師が行うのと同じイメージです。個人で安易にSynology製NAS本体や内蔵HDDを開封・分解する他、出張修理業者やクリーンルームが無い会社で修理・データ復旧作業を行うことは状態が重篤化するだけになりえる他、データが消失するリスクが高まる行為にもなりえます。
・正しい対処方法
SynologyのNASが起動しなくなった場合にデータが不要な場合は修理業者へ、データを失いたくない方は早めにデータ復旧の専門業者の無料相談を利用することを優先しましょう。
※SynologyのNASに保存しているデータが不要・消えても良い方はメーカーや修理の専門会社にNASを修理に出す方法も選択肢に挙がってきますが、メーカーや修理の専門会社にNASを修理に出した場合にはデータが入っているHDDやSSDは初期化される、もしくは新しいディスクに交換された上での修理対応となるため、SynologyのNAS本体は使える・起動可能な状態に戻ることが見込めますが、データは救出されず、NASに保存されていたファイルやフォルダ、設定などのデータは全て消去された上で返却されてくるものです。起動しなくなったSynologyのNAS内に保存しているデータが無くなったり取り出せなくなったりしたら困ると少しでも考えた場合にはデータ復旧の専門業者に相談することを優先しましょう。
↓NASの修理を行いたいと考えた場合にはこちらの記事もご確認下さい。
3.何度も電源を入れ直す
SynologyのNASが起動しない・動作しなくなった時には何度も電源を入れ直してしまいがちですが、これは逆効果になることが多く、注意が必要となります。
・電源の入り切りを行うことによる影響
HDDに負担がかかり、さらに故障する可能性がある |
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電源ユニットや基板にダメージが加わる |
RAIDの同期が壊れ、データが読めなくなる可能性がある |
・正しい対処方法
1回試してダメなら、手を止めることから始めましょう。
4.HDDの交換を行う
NASが起動しないときに、「HDDを交換すれば直るかも?」と考える方もいますが、安易にHDDを変更すると、状況が悪化することがあります。
・HDDを交換するとどうなる?
RAID構成が崩れ、データが消失する可能性がある |
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ファイルシステムに不具合が生じてエラーが発生する |
複数のHDDが取り返しのつかないくらい故障することも多く起こりえる |
※SynologyのNASに限らず、RAIDを構築しているHDDやSSDが故障した際には他のディスクも同様に故障している、もしくは壊れかかっていることがほとんどです。SynologyのNASが起動しないなどの症状が出た際に安易に故障が疑われるディスクを交換するとデータの復旧や機器の修理ができないばかりかディスクの故障具合が悪化する・損傷箇所が増える・データが意図しない形で上書きされる・データが消えるなど状態が重篤化することが多く起こりえるものです。起動しなくなったSynologyのNAS内のデータが大事・早く安く確実に取り出したいと考えた場合にはディスクの交換を行う前にデータ復旧の専門業者の無料相談を利用しましょう。後悔する結果に繋がることを防げます。
・正しい対処方法
データを失いたくない方は作業や操作を進める前に専門家に相談する。
5.リセットボタンを安易に押す
SynologyのNASが起動しなくなると、「リセットすれば直るかも」と考えてリセットボタンを押してしまうことがあります。しかしながら、リセットボタンを押すとデータが消失する可能性があるため、慎重な対応が求められるものです。
・一般的なリセットの種類とリスク
ソフトリセット(4秒押し)→管理者パスワードとネットワーク設定が初期化される。 |
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ハードリセット(10秒押し)→DSMの設定が初期化される。 |
完全リセット→すべてのデータが消去される。 |
・正しい対処方法
SynologyのNASを安易にリセットする前にまずは、HDDや電源周りのチェックを行い、問題の切り分けを行いましょう。また、データを失いたくない方は無理に操作を進めることはせず、データ復旧の専門業者に連絡した方が良いものです。
6.ファームウェアをアップデートする
SynologyのNASが起動しない等のトラブルが発生した際には「ファームウェアの問題かもしれない」と考え、DSM(DiskStation Manager)をアップデートしようとする方もいます。しかしながら、ファームウェアのアップデートは慎重に行わないと、さらに起動できなくなる・状態が重篤化することが多いため、注意が必要となります。
・ファームウェアを更新する際の注意点
ファームウェアのアップデートを途中で中断するとシステムが破損する |
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HDDの状態が不安定、少しでも故障しているような時にファームウェアを更新すると状態が悪化してデータが失われる事態に直結することが多く起こりえる |
・正しい対処方法
SynologyのNASが起動しなくなった時にはデータが保存されているHDDが故障していることがほとんどです。そのため、ファームウェアのアップデートを行っても途中で止まる・失敗する他、ファームウェアのアップデートによってデータが意図しない形で上書きされる・HDDが取り返しのつかないくらい壊れることも多く起こりえます。SynologyのNAS内のデータが大事・無くなったり取り出しができなくなったりしたら困ると少しでも考えた場合には、ファームウェアのアップデートは安易に行わないように注意しましょう。困った時には専門家に意見を聞いた方が良いものです。
7.自己流で復旧を試みる
起動しないSynologyのNASをなんとかしようと、自己流でいろいろ試す方がいますが、データが重要な場合は自己判断で復旧作業を進めないことが重要となります。
・自己流の復旧で起こる問題
HDDを別のNASやPCに接続し、データが読めなくなる |
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電源の入り切りや再起動、ケーブルの抜き差しなどを繰り返して機器に致命傷を与える |
RAID構成を間違って再構築して、データが完全に失われる |
不適切なコマンドを実行し、データを上書きしてしまう |
・適切な対処方法
起動しない等の不具合が出たSynologyのNAS内に重要なデータがある・無くなると困るファイルやフォルダが1つでもある場合には、データ復旧の専門業者に相談するのが安全です。
↓SynologyのNASからデータを取り出したい・復旧したいと思った時にはこちらも参照ください。
SynologyのNASが起動しない主な原因
SynologyのNASが起動しない原因は様々ですが、ここでは、主な原因について詳しく解説していきます。
- 電源関連の問題(ACアダプター故障・電源供給不足)
- HDDの障害(HDDの故障・RAID崩壊)
- DSMの破損(アップデート失敗・ファームウェアの異常)
- ネットワークの問題(IPアドレス取得不可・LANケーブル断線)
- ハードウェアの故障(基板の不良・冷却ファンの不具合)
- 外部デバイスの影響(USB機器の干渉)
- RAIDコントローラーの故障
1.電源関連の問題(ACアダプター故障・電源供給不足)
Synology製に限らず、NASが起動しない場合に基本的な原因として考えられるのが電源周りのトラブルです。SynologyのNASが起動しない、電源ボタンを押しても反応がない時には、電源関連に問題が無いかチェックすることも重要となります。
・ACアダプターの故障
アダプターが壊れていると、SynologyのNASに電力が供給されません。
・電源供給不足
電源タップやUPSの容量不足により、SynologyのNASが正常に起動しない状態に陥ることもあります。
・電源ボタンの故障
Synology製に限らず、NASを長期間使用していると、電源ボタンの接触不良が発生する場合があります。
・電源ユニットの異常
SynologyのNAS内部の電源回路が故障すると、電源ランプすら点灯しない症状が出ることもありえます。
2.HDDの障害(HDDの故障・RAID崩壊)
Synology製に限らず、NASはデータをHDDに保存するため、HDDに障害が発生するとシステムが正常に起動しなくなります。
・HDDの物理的な故障
HDDの寿命や衝撃による破損。
・RAID構成の異常
RAIDが崩壊すると、システムが起動しなくなることがあります。
・接続不良
HDDのコネクタが緩んでいると認識されず、起動しない場合もありえます。
※SynologyのNASが起動しない、共有フォルダにアクセスができないなどのトラブルが発生した時にはデータが保存されているHDDが物理的・機械的に故障していることが大半で、慎重な対応が求められます。電源の入り切りや再起動、ケーブルの抜き差しなど簡単にできることを試しただけでディスクに致命傷を与えてしまうことも多く起こりえるため、大事なデータが入っている・無くなったり取り出しができなくなったりしたら困ると少しでも考えた場合にはSynologyのNASが起動しない・正常に動作しなくなった時点でNASの電源を切るようにした方が良いものです。
↓共有フォルダにアクセスができない状態でお困りの場合にはこちらの記事もご確認ください。
3.DSMの破損(アップデート失敗・ファームウェアの異常)
Synology NASのOSであるDSM(DiskStation Manager)が破損すると、起動できなくなることがあります。
・アップデート失敗
DSMのアップデート中に電源が落ちると、システムが破損する可能性があります。
・ファームウェアの異常
ファームウェアが破損してしまうこともあり、そのような場合にはSynologyのNASが起動しない等の不具合を引き起こすこともありえます。
・システムパーティションの破損
DSMのシステム領域が破損すると、SynologyのNASは起動できなくなります。
4.ネットワークの問題(IPアドレス取得不可・LANケーブル断線)
NASはネットワークを通じて管理・運用するため、ネットワークの異常があるとDSMにアクセスできなくなる場合があります。
・IPアドレスが取得できない
DHCPサーバーの設定ミスやネットワーク障害により、NASがIPアドレスを取得できない場合があります。
・LANケーブルの断線・接続不良
古いケーブルや不良ポートが原因でネットワークが正常に機能しないことがあります。
・ルーター・スイッチの不具合
ルーターやスイッチの設定変更が原因でNASがネットワークに認識されないことがあります。
5.ハードウェアの故障(基板の不良・冷却ファンの不具合)
SynologyのNASの内部部品が故障していると、電源が入らない、異常な動作をする、起動しないなどのトラブルが発生してしまいます。
・マザーボードの故障
基板の損傷や経年劣化により、SynologyのNASが起動しないことがあります。
・冷却ファンの異常
ファンが正常に動作しないと、SynologyのNAS内でシステムが起動を停止することがあります。
・メモリの不具合
メモリモジュールの故障が原因でSynologyのNASが起動できないことも起こりえます。
6.外部デバイスの影響(USB機器の干渉)
Synology NASは、USBポートを利用して外部ストレージや周辺機器を接続できますが、これらのUSB機器が起動時に干渉し、NASの正常な動作を妨げて起動しないなどのトラブルを引き起こすことがあります。
・USBデバイスの電力消費問題
一部の外部HDDやUSB機器はNASから電力を供給されるため、電源容量を圧迫し、NASが正常に起動できなくなることがあります。
・USBブートの影響
BIOS設定によっては、USBデバイスがブートシーケンスに影響を与え、NASが正しく起動しないことがあります。
・不良USB機器によるシステムエラー
故障したUSBストレージや互換性のない周辺機器がSynologyのNASに接続されていると、NASの起動プロセスが停止することがあります。
・外部HDDのマウントエラー
SynologyのNASが外部ストレージのデータをマウントしようとする際にエラーが発生し、起動が遅れたり、フリーズしたりすることがあります。
※NASにUSBデバイス(外付けHDDやUSBメモリなど)を接続していると、起動時に影響を及ぼすことがあるため、SynologyのNASが起動しない等のトラブルが発生した時には取り外すことも検討した方が良いものです。
7.RAIDコントローラーの故障
RAIDコントローラーは、複数のHDDを一つのストレージシステムとして機能させるために不可欠な部品ですが、このコントローラーに異常が出ると、Synology製に限らず、NASが正常に起動しなくなることがあります。
・RAIDコントローラーの物理的故障
RAIDカードやマザーボード上のRAIDチップが故障すると、HDDが正常であってもRAIDアレイが認識されず、SynologyのNASが起動しなくなります。
・RAID設定の破損
ファームウェアの更新やRAID構成の変更が原因でRAID情報が破損すると、HDDが正常に起動しない状態になることがあります。
・互換性のないRAIDコントローラーの使用
NASのRAIDコントローラーと互換性のないHDDやRAID設定を使用すると、RAIDアレイが正常に機能せず、起動エラーが発生することがあります。
・RAIDバッテリーキャッシュの問題
RAIDコントローラーにバッテリーキャッシュが搭載されている場合には、バッテリーの劣化や完全放電が原因でRAIDが認識されず、NASが起動できなくなる事も起こりえます。
SynologyのNASが起動しないトラブルを防ぐ対策は
SynologyのNASが起動しなくなった際には中のデータが使えなくなるため、様々な支障が出てくることも推測されるものです。ここでは、SynologyのNASが起動しないトラブルを防ぐための方法も紹介していきます。
- 電源トラブルを防ぐための管理方法(UPSの活用)
- HDDの故障を防ぐためのチェック方法
- DSMアップデートによる起動不良を防ぐための対策
- 過熱によるNASの故障を防ぐ冷却管理のポイント
- ネットワーク障害を防ぐための設定とセキュリティ対策を講じる
1.電源トラブルを防ぐための管理方法(UPSの活用)
・突然の停電に備えて、UPS(無停電電源装置)を使用する。
・定期的にSynologyのNASに付属している電源ケーブルやアダプターの状態を確認する。
・電源タップではなく、直接コンセントに接続することで安定供給を確保する。
※停電や雷、瞬電の影響でSynologyのNASが起動しない・共有フォルダにアクセスができないなどの不具合が生じることが多いものです。また、停電によってNAS内のHDDが物理的・機械的に故障することが多く、注意が必要となります。停電の後にSynologyのNASに問題が出た時には機器の電源を切ることを優先しましょう。電源の入り切りや再起動、ケーブルの抜き差しなど簡単にできることを試しただけでも機器に致命傷を与えてしまいます。
↓停電後、SynologyのNASにトラブルが発生した時にはこちらも参照下さい。
2.HDDの故障を防ぐためのチェック方法
・NASの管理画面(Storage Manager)でHDDのS.M.A.R.T.情報を確認する。
・3年以上使用しているHDDは事前に交換を検討する。
・不良セクターが増えているHDDは予防的に交換を検討する。
※Synology製に限らず、NASは常時稼働することがほとんどで、1年程度でもハードディスクが寿命を迎えることもあるため、注意が必要となります。
3.DSMアップデートによる起動不良を防ぐための対策
・DSMのアップデートを自動ではなく手動で管理し、安定版を確認してから適用させる。
・アップデート前にバックアップを作成し、更新後の不具合に備える。
・互換性に問題が無いかも調査する。
4.過熱によるNASの故障を防ぐ冷却管理のポイント
・SynologyのNASを直射日光の当たらない場所に設置し、適切な温度管理を行う。
・定期的に内部のホコリを掃除して、冷却ファンの動作を確認する。
・NASの換気スペースを確保して、通気性の良い場所に設置する。
5.ネットワーク障害を防ぐための設定とセキュリティ対策を講じる
・ルーターやスイッチのファームウェアを最新に更新し、セキュリティホールを防ぐ。
・不要な外部アクセスをブロックし、ファイアウォールやVPNを活用する。
・SSHやTelnetなどのリモート管理機能を適切に設定し、セキュリティリスクを軽減する。
上記のように適切なチェックと日々の管理を行うことで、Synology NASのトラブルを未然に防ぎ、長く安定した運用を続けることが見込めます。
Synology製NASの主な型番とシリーズ一覧
SynologyのNASには様々なモデルが存在し、用途によって選択肢が異なります。以下の表では代表的な型番をまとめました。
シリーズ | 型番例 | 用途・特徴 |
---|---|---|
DSシリーズ (DiskStation) | DS118, DS120j, DS218, DS218play, DS220j, DS220+, DS223, DS224+, DS418, DS420j, DS420+, DS423+, DS720+, DS920+, DS923+, DS1522+, DS1621+, DS1621xs+, DS1821+, DS2422+ | 一般家庭・小規模オフィス向け。2ベイ・4ベイ・5ベイモデルがある。 |
RSシリーズ (RackStation) | RS217, RS3614xs+, RS819, RS1221+, RS1619xs+, RS2421+, RS2421RP+, RS2821RP+, RS3621xs+, RS4021xs+, RS422+, RS822+, RS822RP+, RS1223+, RS2423+, RS4023xs+ | 企業向けラックマウント型。冗長電源モデルあり。 |
FS/XSシリーズ (FlashStation / 高性能モデル) | FS2500, FS3410, SA3200D, SA3400, SA3600, SA6400, DS3622xs+ | オールフラッシュストレージ対応や高性能プロセッサ搭載モデル。 |
DX/FXシリーズ (拡張ユニット) | DX517, DX1215, FX2421 | ストレージ増設用。ベースモデルに接続してストレージ容量を増やせる。 |
Jシリーズ (エントリーモデル) | DS120j, DS220j, DS420j | 初心者向けの低価格モデル。基本的なNAS機能を備える。 |
Plusシリーズ (ハイエンドSOHO向け) | DS720+, DS920+, DS923+, DS1522+, DS1621+ | 高性能CPUを搭載し、仮想化やAIアプリ対応。 |
上記は一例になります。アドバンスデータ復旧ではSynologyのNASのシリーズ、型番を問わず、データ復旧対応が可能です。
まとめ・万が一、困った時には
SynologyのNASが起動しなくなった場合に焦って誤った対処をすると、状況がさらに悪化する可能性があります。特に、電源の入り切りや再起動を繰り返したり、HDDを無理に抜き差ししたりすると、システムやデータに深刻なダメージを与えることもありえます。NASは通常のPCや外付けHDDとは異なり、RAIDや独自のファイルシステムを使用しているため、誤った対応をするとデータが消失する危険性が高まるものです。
起動しない等のトラブルが発生したSynologyのNAS内のデータが大事・無くなったり取り出しができなくなったりしたら困ると少しでも考えた場合には、手を止めて、専門家に相談することを優先しましょう。アドバンスデータ復旧はNASに生じる様々なトラブルに対して多くの復旧実績もあり、安心です。万が一、困った時には無料の相談から始めてはいかがでしょうか。