SDカードが水没した場合の適切な対処方法と再発防止策

SDカードが水没した場合の適切な対処方法と再発防止策 SDカードが水没した場合の適切な対処方法と再発防止策

SDカードはカメラやスマートフォン、タブレットなどに挿入して使う、私たちの日常生活に欠かせない記録メディアの1つです。しかしながら、鞄に一緒に入れていたペットボトルの蓋が緩んでいて中に入れていたスマホやカメラ、パソコン、SDカードなどが水没した・手が滑ってSDカードが入ったカメラごとプールや海に落とした・ポケットに入れていたSDカードを衣類と一緒に洗濯してしまった・机上で飲み物がこぼれてカードリーダーやSDカードまで液体が浸透してしまったなどのトラブルに遭遇することは珍しくありません。SDカードなどの精密機器が水没した際には、保存している大切なデータが失われる事態に直結することも多く、慎重な対応が求められます。
SDカードは水没した後に取る行動によって、データを守れる可能性は大きく変わります。間違った対応を行うと、復旧できたはずのデータまで失ってしまうこともありえるため、注意が必要です。
本記事では、SDカードが水没した場合に考えられるリスクや試せる対処方法、やってはいけない行動、そして再発を防ぐための予防策についても詳しく解説していきます。

目次

SDカードが水没すると生じる主なリスク

SDカードは小型で持ち運びに便利な記録メディアの1つですが、水に弱い特徴を持った精密機器でもあります。表面はプラスチックで覆われていますが、内部にはICチップや基板が搭載されており、これらは水分や湿気によるダメージに非常に敏感です。SDカードが水没・濡れた直後は見た目に変化が無い状況でも、内部では徐々に損傷や腐食、故障具合が悪化していることもありえます。ここではSDカードが水没した場合に生じる代表的なリスクについて詳しく説明していきます。

  1. SDカードが認識しない・読み込めない
  2. エラーメッセージが表示される
  3. データの破損や消失が起きる
  4. 回路のショート
  5. 腐食や錆びによる二次障害が発生する

1.SDカードが認識しない・読み込めない

SDカード内部に水が入り込むと、カメラやスマートフォンに挿入、パソコンに接続したとしても「認識しない」「データを読み込めない」などの症状が出ることがあります。特に、SDカードを差し込んだ際に一瞬だけ反応したとしても、すぐに認識されなくなる場合にはSDカードが水没したことによって内部に深刻なトラブルが進行している事が大半で、不用意な操作は状態を悪化させる危険性が高まります。抜き差しを繰り返す・機器の電源の入り切りを行うだけでもSDカードが取り返しのつかないくらい壊れてしまうため、注意しましょう。

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2.エラーメッセージが表示される


水没したSDカードをスマートフォンやパソコンなど使用したい機器に接続すると「カードが破損しています」「フォーマットしますか?」などのエラーメッセージが表示されることは多く起こりえるため、データを失いたくない方は慎重な対応が求められます。中にはサムネイルだけ表示されるものの、ファイルを開くと「データが存在しません」と出ることもあり、その際には表面上はデータが残っているように見えても実際には破損している状態を示していることが大半です。SDカード内のデータが大事・無くなったり取り出しができなくなったりしたら困ると少しでも考えた場合には手を止めてプロのデータ復旧業者に相談することを検討しましょう。

↓SDカードの損傷・破損が疑われる時にはこちらも参照ください。

3.データの破損や消失が起きる

SDカード内部のメモリ領域が水分によって損傷すると、保存されていたデータが破損したり完全に消えてしまうことも起こりえます。SDカードが水没・濡れた後には写真や動画など、一部のファイルは開けたとしても、途中から表示が乱れる・一部分だけ再生できないといった症状が出ることもあります。これらはデータそのものが壊れている・簡単な方法での修復は難しい状態に陥っているため、大切なデータを守るためには落ち着いた判断が必要となります。

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4.回路のショート

SDカードは非常に微細な電子回路で構成されています。濡れたまま電源を入れてしまうと回路がショートし、一瞬でカード自体が使用不能になる事があります。ショートが起きたチップは物理的に破損してしまうため、再利用は不可能となり、データの復旧作業も難易度が高くなる傾向にあります。

5.腐食や錆びによる二次障害が発生する

SDカードが水没した直後に使えていたとしても油断は禁物です。SDカードの金属部分は時間の経過とともに腐食や錆びを起こし、数日〜数週間後に完全に認識しなくなることもありえます。特に海水や飲料水など塩分や糖分を含む液体に浸かった場合には、腐食の進行は早まり、取り返しのつかない障害に発展することがあります。

このように、SDカードが水没した際には「一時的なトラブル」ではなく、深刻な物理障害を引き起こす可能性が高いものです。誤って削除したときなどの論理障害と違い、自力での修復は難しいケースが多く、正しい対応が何よりも重要となります。少しでも困ったり悩んだりした際には手を止めてプロのデータ復旧業者の無料相談を利用することを優先しましょう。

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SDカードが水没した場合に試せる対処方法


SDカードが水没した際に、慌てて間違った対応を行うとデータが消失するリスクが一気に高まりますが、落ち着いて正しい手順を踏めば、データを守れる可能性を残せます。ここでは、SDカードが水没した際に試せる7つの対処方法を詳しく解説していきます。

  1. すぐに機器から取り外す、または濡れたカードを回収する
  2. デバイスの電源を完全に切る
  3. 表面の水分をやさしく拭き取る
  4. 自然乾燥を行う
  5. 乾燥剤を活用する
  6. 乾燥が終わるまで通電しない
  7. 復旧業者に相談する

1.すぐに機器から取り外す、または濡れたカードを回収する

SDカードが機器に挿入されたまま水没した時は、まずは電源を切り、SDカードを速やかに取り外ししましょう。抜き差しの最中や単体で濡れた場合も同様に、速やかにカードを回収することが重要です。通電したまま放置すると水分がSDカード内部に浸透し、腐食が進む・回路がショートする・データが完全に消失する危険性も高まるものです。初動の早さが、その後の復旧の可能性を左右します。

2.デバイスの電源を完全に切る

水没した状態で使用を続けると、SDカードだけでなくスマートフォンやカメラ、パソコン、ゲーム機器、タブレット本体まで故障する恐れがあります。必ずデバイスの電源をオフにして、さらなる通電を防ぎましょう。電源が入ったままではデバイス内部回路へのダメージが広がり、機器自体の修理が必要になる恐れがあります。二次被害を防ぐためにも注意しましょう。

↓スマホのデータを取り出したい・救出したいと考えた時にはこちらも参照ください。

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3.表面の水分をやさしく拭き取る

SDカードが濡れた・水没してしまった時には、乾いた柔らかい布やティッシュで表面や端子部分の水分を軽く押さえるように拭き取る方法が自分で簡単に試せる対処方法として挙げられます。強く擦ると端子部分が傷ついたり、静電気が発生してさらに故障のリスクを高めたりするため厳禁です。端子や溝部分は特に水分が残りやすいため、丁寧に水気を取り除くことが大切です。

4.自然乾燥を行う

SDカードが真水だけで濡れた・水没した際には乾燥する方法も簡単に試せる対処方法になりえます。強制的な乾燥は避け、風通しの良い場所で24〜48時間程度、自然乾燥してみましょう。直射日光やドライヤー、ストーブは熱による変形や回路損傷の原因になるため厳禁です。水分が完全に抜けきる前に通電するとショートする恐れもあるため、十分な時間をかけることが大切です。長時間乾燥させることで、内部に残ったわずかな水分や湿気も取り除ける可能性が高まります。
しかしながら、SDカードにかかった液体が水以外の液体であった場合には乾燥させる方法は選択しないようにしましょう。コーヒー、紅茶、お茶、お酒、ジュース、カップラーメンの汁、スープなどの飲み物の他、プールの塩素水、海水など液体ごとに様々な成分が入っていることから、乾燥させることで腐食や損傷具合が悪化することが多く起こりえるものです。水没したSDカード内に失いたくないデータが1つでも入っている時には乾燥させる方法は選択肢から外すようにしましょう。

5.乾燥剤を活用する

水没したSDカードを乾燥させる際には、乾燥剤(シリカゲル)を密閉容器やジップバッグに入れ、その中にSDカードを入れて保管すると水分を効率よく乾燥することが可能となります。市販の乾燥剤はカメラ用品や靴用などでも手に入るためSDカードが真水で濡れた時には有効な対処方法として挙げられます。家庭で「お米に入れる」という方法も知られていますが、米粒の粉や異物が付着してSDカードの端子部分を傷めるリスクがあるため、避けるのが無難です。

6.乾燥が終わるまで通電しない

水没したSDカードを乾燥させた後に「乾いたかどうか確認したい」と思っても、完全に乾燥する前に機器へ差し込むのは危険な行為になりえます。SDカードやSDカードを挿入して使用する機器内に少しでも水分が残った状態で通電すると、一瞬でショートして復旧不可能なダメージを負う危険性が高まります。最低でも24時間以上、できれば48時間は待つことが安全です。

7.復旧業者に相談する

水没したSDカードは「物理障害」が発生したものとして、分類されます。論理障害(誤削除など)と異なり、データ復旧ソフトでは対応できないものです。基板のショートや腐食は自力では修復することが難しく、誤った処置を進めることで状況が重篤化することもありえます。写真や動画、業務データなど大切な情報が水没したSDカードに含まれている時には、早めにデータ復旧業者に相談するのが最も確実で安全な方法として挙げられます。

・データ復旧業者の選び方

SDカードが水没した際に早く安く確実にデータを取り出したいと思った時には復旧業者選びが重要となります。どこのデータ復旧業者を選べば良いのか悩んだ場合には下記の様な項目をチェックしましょう。困らずに済みます。

  1. 高度な技術力を持っている(独自技術やAI技術の有無)
  2. 復旧作業のスピードや対応が早い
  3. 料金プランや復旧費用例が公式サイトに明記されている
  4. クリーンルームなど専用環境下や専用のラボで復旧・修理対応を行っている
  5. 情報の守秘義務やセキュリティ管理が徹底されている
  6. データ復旧の実績や事例紹介が豊富である

データ復旧業者は数多く存在していますが、技術力やデータ復旧サービス内容には大きな差もあるものです。どこの復旧業者に出しても同じように早い対応と費用を抑えたデータの復旧ができるわけではないため注意しましょう。アドバンスデータ復旧は1から6の項目、全てを満たしているおすすめのデータ復旧業者です。独自技術やAI技術を持っており、高度な技術力で復旧・修理作業を行うことから、迅速な対応と低価格でのデータ復旧サービスを実現しています。パソコン、外付けハードディスク、SSD、USBメモリ、NASやRAIDサーバー、SDカード、ビデオカメラ、ドライブレコーダーなど、様々な機種に対して復旧実績も多くあり、安心です。

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SDカードが水没した際にやってはいけない事

SDカードが水没した際に誤った対応をしてしまうと、データの復旧や修復作業が一気に困難になり、カードそのものも二度と使えなくなる危険性が高まります。ここではSDカードが水没した後にやってはいけない行動を具体例を交えて詳しく解説していきます。

  1. 濡れたまま通電する
  2. 抜き差しを繰り返す
  3. 何度も再起動やリトライを試す
  4. 強制的に乾燥させる
  5. SDカードを分解する
  6. フォーマットする
  7. データ復旧ソフトを安易に使用する
  8. 見た目が乾いているからと安心する
  9. そのまま放置する

1.濡れたまま通電する


水没したSDカードに対して「乾いたように見えるから大丈夫だろう」と思い、機器に差し込み、電源を入れるのは非常に危険な行為として挙げられます。SDカードにわずかでも水分が残っていればショートが発生し、メモリチップやコントローラが焼けてしまうリスクを伴います。一瞬の通電が致命的なダメージに繋がるため、完全に乾燥するまでは決して試さないことが重要です。

2.抜き差しを繰り返す

SDカードが水没した後に認識しないと不安になって、何度もカードを抜き差ししてしまう方もいますが、これは逆効果な対応になります。SDカードは摩擦に弱く、通常の使い方でも劣化・寿命を迎えますが、抜き差しの回数が多いと端子部分に摩耗や傷がつく他、通電回数が増えることで状態が悪化してしまいます。「何度か試せばそのうち読めるかも」という考えは、データが消失するリスクを早める危険な行動です。

3.何度も再起動やリトライを試す

水没したSDカードをデバイスに入れて何度も再起動したり、繰り返し読み込みを試す行為も大変危険な行為になります。SDカードに生じたエラーを修復しようとする過程で不良セクタが増殖したり、システム領域に意図しない上書きが発生することもありえます。結果的にデータの復旧作業がほぼ不可能になるケースも起こりえるため、再起動やリトライは控えるようにしましょう。

4.強制的に乾燥させる

SDカードやスマートフォン、カメラ、カードリーダーなどSDカードを挿入して使用する機器が水没・濡れた時には慌ててしまうことも多いものです。そんな時にはドライヤーや電子レンジ、ストーブなどで一気に乾燥させようと考えてしまうかもしれませんが、手を止めることが重要です。熱によってプラスチック部分が変形する・内基板に致命的なダメージが加わる原因にもなりえます。高温による膨張や収縮で回路が剥離する危険性も高まるものです。SDカードや機器にかかった液体が真水であったならば、自然乾燥する方法を選びましょう。

↓デジカメで撮影したデータを復元したいと思った時にはこちらの記事もご確認ください。

5.SDカードを分解する

SDカードを開けても、内部には高度に集積された基板やチップがあるだけで、ユーザーが触って直せる部分は中々無いものです。それどころか分解によって基板に傷がつく・ケースが破損してスロットに差し込めなくなることも多く起こりえます。
そもそもSDカード等の精密機械はユーザーが分解・開封することを前提には作られておらず、クリーンルームなどの専用の環境下では無いオフィスや普通の部屋で開封するとそれだけで状態が悪化する他、基板やチップの損傷が重篤化して、後悔する結果に直結するリスクも伴います。SDカードは極小の記録メディアの1つです。SDカードを無闇に分解して基板に傷を作る・圧力をかける・静電気によって致命傷を与えることは避けましょう。

6.フォーマットする

「フォーマットしますか?」と表示されると押したくなるかもしれませんが、実行するとSDカードに限らず、エラーメッセージが表示されたデバイス内の全てのデータが消えてしまいます。フォーマットした後には論理的にも情報の痕跡が消されるため、復旧作業の難易度が格段に上がるものです。エラーメッセージは経年劣化や寿命によっても表示されることが多く、SDカードが認識しない・読み込まない状態に陥った際にデータを失いたくない方はエラーメッセージが出てもキャンセルを選び、絶対にフォーマットしないようにしましょう。

7.データ復旧ソフトを安易に使用する

復旧ソフトを使用する方法は誤削除などの論理障害のみが発生している機器に対しては有効な手段になりえますが、水没トラブルは論理障害ではなく、物理障害が生じている状況となるため注意が必要となります。水没・水濡れしたSDカードなどの機器に対して復旧ソフトを使ってもデータが戻ることはなく、むしろ通電や書き込みによって内部をさらに破壊する危険性が高まります。SDカードが認識しない・読み込まない・エラーメッセージが出るなどの症状が出た際に「復旧ソフトでなんとかしよう」という考えはデータを失うリスクを高めるだけになることが大半であるため、持たないようにしましょう。

・WindowsのパソコンでSDカードが正常に動作しなくなった際に表示されるエラーメッセージ例

場所が利用できません。
フォーマットする必要があります。フォーマットしますか。
アクセスが拒否されました。
巡回冗長検査(CRC)エラー
I/O デバイスエラー
存在しないデバイスを指定しました。
指定されたファイルが見つかりません。
このボリュームは認識可能なファイルシステムではありません。
USBデバイスが認識されません。
パラメーターが間違っています。
ファイルまたはディレクトリが壊れているため読み取ることができません。
ディスクは不明・初期化されていません。
デバイスの準備ができていません。
ディレクトリ名が無効です。

・MacでSDカードが正常に動作しなくなった際に表示されるエラーメッセージ例

セットしたディスクは、このコンピュータで読み取れないディスクでした。
ディスクでロック解除を妨げる問題が検出されました。

↑エラーが表示され、SDカードが正常に動作しない・認識しなくなった状況でお困りの方は各メッセージ内容をクリックしてください。エラーメッセージ別の対処方法もそれぞれ紹介しています。

8.見た目が乾いているからと安心する

水没したSDカードの外側が乾いていても、基板やチップの隙間に水分が残っていることは多く、注意が必要となります。内部の微小な水滴は肉眼では確認できず、これがショートの原因となることも多いものです。「触った感じが乾いている」だけでSDカードの使用を再開するのは非常に危険な行為として挙げられます。SDカードが真水で水没した際には最低でも24〜48時間の自然乾燥を行うようにしましょう。心配な方・大切なデータを守るためには落ち着いた判断が重要となります。

9.そのまま放置する

SDカード内に水分が残った状態で長期間放置すると、金属部分が腐食してしまいます。腐食が進むと端子が酸化して接触不良を引き起こす・基板が劣化して復旧作業が難しくなるケースに繋がることもありえるため、状況を見極めながら早めに対応することが重要です。見た目に変化がなくても内部で状況が悪化する事が多いため、「時間が経てば乾くだろう」と放置することは止めておきましょう。

※上記のようなNG行動は一見「試したら良さそう」と思ってしまうかもしれませんが、データを守るどころか状況を悪化させる危険な行為になることも多く、注意が必要となります。SDカードが水没した・濡れてしまった時には落ち着いた判断が重要となります、SDカードから早く安く確実にデータを取り出したいと少しでも考えた時にはプロのデータ復旧業者の無料相談を利用することを優先しましょう。

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SDカードの水没は物理障害に分類される


SDカードに生じるトラブルは大きく「論理障害」と「物理障害」に分けられます。その中で、水没による故障は典型的な物理障害に該当するものです。ここでは、その理由と特徴について解説していきます。

  1. 論理障害との違い
  2. 水没がもたらす物理的ダメージ
  3. SDカードが水没した際に自力での復旧が難しい理由

1.論理障害との違い

論理障害とは、誤ってファイルを削除した・誤フォーマットをしてしまった場合など、データの管理情報が損なわれた状態のことを指します。このような場合には、記録メディア自体は正常に動作していることが大半であるため、復旧ソフトなどで問題が解決できることもありえます。
一方で水没した際には、SDカード内部の電子部品や基板そのものにダメージが加わっているため、論理的な処理では解決できないものです。電気回路がショートしたり、チップが腐食したりするため、物理的な損傷が少しでも生じている時にはクリーンルームなどの専用環境下で高度な技術力・深い専門知識を持った専門の技術員が互換性のある部品の調達を行った上で作業を行うことが必須となります。

2.水没がもたらす物理的ダメージ

SDカードの内部は非常に精密で、数ミリ単位の回路や半導体が組み込まれているものです。液体が入り込むと以下のような物理的トラブルが発生してしまいます。

ショート:水分が通電を引き起こし、回路を破壊します。
腐食:時間が経つと金属部分が酸化し、接触不良や回路断線に繋がります。
基板の劣化:繰り返し乾湿にさらされることで基板が弱り、故障の進行度が早まります。

3.SDカードが水没した際に自力での復旧が難しい理由

水没によって発生した物理障害は、外見からは判断できないダメージが加わっていることが多く、乾かしたとしても正常に戻らないことがほとんどです。さらに、誤った対応でショートや腐食を進行させてしまうリスクも高く、自力での復旧は困難であることが大半です。そのため、SDカードが水没した際に機器内のデータを早く安く確実にデータを取り出したいと少しでも考えた場合にはプロのデータ業者の診断や専用設備による修理・復旧対応が不可欠となるものです。

↓SDカードからデータを取り出したいと考えた時にはこちらの記事もご確認ください。

※SDカードに限らず、記録メディアが水没した際には論理障害が発生した場合とは異なり、物理的な破損を伴うため特に慎重な対応が求められます。「見た目で乾いたから大丈夫」と考えるのではなく、物理障害が生じていると理解した上で、適切な対応に繋げることが大切です。

SDカードが水没した時に注意したい液体の違い

SDカードが水没した際には、浸かった液体の種類によってダメージの度合いやリスクは大きく異なります。ここでは代表的な液体ごとのリスクを紹介していきます。

  1. 真水(雨・水道水・プール)
  2. 海水
  3. 洗剤水(洗濯機で洗った時など)
  4. 飲み物(ジュース・コーヒー・スープなど)
  5. アルコール類
  6. ペットの粗相(尿や嘔吐など)
  7. 赤ちゃんの唾液
  8. プール水

1.真水(雨・水道水)

真水でSDカードが水没・水濡れした時には一見、大丈夫そうに思えますが、基板や端子に水分が残ることでショートや腐食を引き起こしてしまいます。特に乾燥が不十分なままSDカードおよびデバイスに通電を行うと、一瞬でSDカードだけでなくデバイスまでもが破損することもありえます。

2.海水

海水は塩分を含むため、SDカードなどの精密機器が水没した場合には最も危険度が高い液体の一つとして挙げられます。乾燥が終わった後も塩分が結晶として残留するため、通電した際に再びショートを引き起こすリスクがあります。また、強い腐食作用があり、端子や回路を急速に劣化させるため、海水でSDカードが水没した際には早急に専門家のアドバイスを聞くようにした方が良いものです。

3.洗剤水(洗濯機で洗った時など)

洗濯機でSDカードを誤って洗ってしまった場合には、洗剤成分によって基板や部品が化学的に劣化する他、腐食が早まってしまいます。また、SDカードを洗濯機に入れてしまった場合には長時間の水流にさらされる・物理的な衝撃も加わるため、見た目以上にダメージが大きくなりがちです。

4.飲み物(ジュース・コーヒー・スープなど)

飲み物による水没トラブルは、身近で起こりやすい他、慌てて誤った対応を行うことが多く注意が必要となります。ジュースやコーヒーは糖分や酸がSDカード内の基板に付着し、乾燥後もべたつきや固着を残してしまいます。さらに、味噌汁やカップラーメンのスープなどは塩分や油分を多く含んでいるため、腐食や接点不良を急速に進めるものです。これらの成分は水没したSDカードが乾いた後も結晶や膜を残すため、再び通電した際にショートを引き起こす原因にもなりえます。
特に温かい飲み物でSDカードが水没した場合には、熱によってカード内部への浸透が早まる事も多く、ダメージは想像以上に深刻であることが大半で。飲み物をSDカードやパソコン、SDカードを挿入して使用する機器にこぼした場合は速やかに拭き取り、安易に通電せず専門家へ相談することが大切です。

↓パソコンが水没・水濡れしてしまってお困りの方はこちら。

5.アルコール類

アルコールは揮発性が高いためSDカードなどの記録メディアにアルコール飲料がかかってしまった・水没した場合でも問題は軽視されがちですが、濃度や添加物によってカード内の基板の保護コーティングを侵す・物理障害を引き起こすことも多く、注意が必要となります。水滴レベルではなく、グラスごと倒してSDカードにかかった場合やカード内に無くなると困るデータが入っているのであれば、安易に軽度なトラブルと判断せずにプロのデータ復旧業者の無料相談を利用することを優先しましょう。

6.ペットの粗相(尿や嘔吐など)

ペットがSDカードなどの記録メディアの上で粗相をした場合には、水分だけでなくアンモニアが含まれているため、強い腐食と悪臭を伴います。カードの上に嘔吐した時にも放置すると金属部分が急速に劣化するため、復旧作業の難易度が非常に高まるものです。

7.赤ちゃんの唾液

microSDカードのような小さなカードは、机の上や床にそのまま置いていると、赤ちゃんが誤って口に含んでしまうこともありえます。唾液には塩分や酵素が含まれているため、腐食が進みやすいだけでなく、誤飲事故のリスクもあります。事故を防ぐためにも、SDカードは必ずケースに入れて、子どもの手の届かない場所で保管するようにしましょう。

8.プール水

プールの水は一見「真水」に近いように思えますが、塩素や薬剤が含まれているため、水道水よりもSDカードの金属端子や基板の腐食が急速に進む傾向にあります。ドローンやアクションカメラ、スマートフォンなどがプールに落下したケースでは、見た目以上に深刻なダメージが加わっていることが大半で慎重な対応が求められます。
SDカードやデバイスを乾燥した後もプール水の薬剤成分が残留していることが大半で、再び通電した際にはショートや接触不良を引き起こす危険性も高まります。特に温水プールで水没した場合には、熱が加わることで劣化の進行が早まり、SDカードの寿命が大幅に縮まるため、早めに専門家のアドバイスを聞くようにした方が良いものです。

・ドローンやアクションカメラが水没した時には

ドローンやアクションカメラは、屋外や水辺で使用する機会が多いため、プールや川、湖、海などに落下するリスクがあります。このような場所で、SDカードが水没した時にはカードだけでなく機器全体が水没するため、被害範囲が広がりやすいのが特徴です。さらにプールの薬剤や海水など環境要因が加わると、復旧作業の難易度は一段と高まる傾向にあります。

※SDカードが水没した際に液体の種類によるリスクを理解しておくと、万一のときに適切な判断が可能になることが多いものです。特に海水や洗剤、飲み物などがSDカードにかかった時には見た目以上に深刻なダメージが加わっていることが大半であるため、慎重な対応が求められます。

SDカードを水没させないための予防策


SDカードが水没・水濡れしてしまう事は突然起こることが大半で、完全に避けることは難しいものの、日常の中で少し意識するだけでデータが消失するリスクを大きく減らすことが期待できるものです。ここでは、SDカードが水没するトラブルを防ぐための具体的な予防策を紹介していきます。

  1. 防水性能のあるSDカードを選ぶ
  2. 保管時はケースを利用する
  3. ポケットや衣類に入れない
  4. 水辺や屋外での取り扱いに注意する
  5. 小さな子どもやペットの手の届かない場所に保管する

1.防水性能のあるSDカードを選ぶ

市販のSDカードの中には、防水性能を備えたモデルもあります。SDカード内のデータを失いたくない方はIPX規格で防水等級が明記されているものを選ぶと安心です。しかしながら、防水性能があるとしても「長時間の浸水」や「高温の液体」には耐えられない事もありえるため、過信は禁物です。

2.保管時はケースを利用する

SDカードをむき出しのまま持ち歩くと、突然の雨や飲み物のこぼれなどで水没してしまうリスクがつきまといます。SDカードを持ち運ぶ際には専用のプラスチックケースや防水ポーチに入れて保管することで、不意に遭遇するトラブルを防げることが可能となります。

3.ポケットや衣類に入れない

SDカードをポケットに入れたまま洗濯してしまうことは誰にでも起こりえるものです。SDカードなどの極小の記録メディアは外出先でも衣類やバッグの隅に直接入れるのは避け、必ずケースやカードホルダーに入れるようにしましょう。

4.水辺や屋外での取り扱いに注意する

ドローンやアクションカメラ、ICレコーダー、スマートフォン、タブレットなど、SDカードを挿入して使用するデバイスを屋外で使用する場合には、川や海、プールなど水辺での水没リスクが高まります。機器の防水ケースを利用する他、ドローンやアクションカメラ、GoProなどで撮影した後にはすぐにSDカードを抜いてケースに戻すなどの工夫が大切です。

5.小さな子どもやペットの手の届かない場所に保管する

microSDカードは小さいため、赤ちゃんが誤って口に含んでしまったり、ペットが噛んでしまったりすることもありえます。水分だけでなく事故防止のためにも、必ず安全な場所で管理しましょう。

※これらの予防策を習慣にしておくことで、SDカードの水没によるデータ消失トラブルを大幅に減らすことが期待できるものです。さらにバックアップを併用すれば、万一の時でも大切なデータを守ることが期待できます。

SDカードのデータを守るためのバックアップ方法


SDカードは小型で便利な記録メディアの1つですが、水没や紛失、破損といったリスクが常につきまといます。このような状況に備えるためには、定期的なバックアップが欠かせません。ここでは、代表的なバックアップ方法を紹介していきます。

  1. パソコンにバックアップする
  2. クラウドストレージを利用する
  3. 自動バックアップアプリを使う
  4. 複数のバックアップ先を持つ

1.パソコンにバックアップする

SDカードのバックアップを取る方法で簡単なのは、SDカード内のデータをパソコンにコピーする方法が挙げられます。外付けHDDやSSDを併用することで、よりデータ保護の安全性が高まります。特に写真や動画など容量の大きなファイルを扱う場合には、有効な選択肢になりえます。

2.クラウドストレージを利用する

Googleドライブ、iCloud、OneDrive、Dropbox などのクラウドサービスを活用すれば、インターネット環境があればどこからでもアクセスが可能となります。水没した状況以外でも災害や盗難などによって物理的にメディアが失われてしまったとしても、データを守ることができます。ただし、クラウドストレージも万全ではなく、容量やセキュリティポリシーも確認して利用することが大切です。

3.自動バックアップアプリを使う

スマートフォンやタブレットでは、自動でSDカード内のデータをクラウドや端末内に保存するアプリを利用できるものです。自動バックアップを設定しておけば手間なくデータを保存できるため、うっかりバックアップを取ることを忘れたとしても大事なデータを守ることができます。

4.複数のバックアップ先を持つ

1つのバックアップ先だけに依存すると、その媒体にトラブルが起きた際にデータが消失するリスクが残ってしまいます。大事なデータはパソコン・外付けHDD・クラウドなどの複数のバックアップ先を組み合わせて利用することが重要です。

※バックアップは「一度やれば終わり」ではなく、定期的に行うことが大切です。水没や物理的なトラブルに遭っても、大切なデータを守れるように習慣化しておきましょう。
しかしながら、どんなに気を付けていてもデータが失われるトラブルに遭遇することは誰にでも起こりえるものです。
SDカードが水没した後に早く安くデータを取り出したいと考えた時にはプロのデータ復旧業者に相談することも検討してみましょう。

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まとめ|SDカードが水没して不安な時に知っておきたい対応と考え方

SDカードが水没してしまった時には、内部回路のショートや腐食が進み、大切なデータが失われる事態に直結することも多く起こりえるものです。SDカードの見た目では、乾いていても内部に水分や成分が残っている場合が大半で、誤った対応を行うと状況が重篤化する他、復旧の可能性を下げてしまいます。そのため、SDカードが水没・水濡れした後には自己判断で無理に作業を進めるのではなく、落ち着いて正しい流れを理解しておくことが大切です。
本記事では、SDカードが水没してしまった場合の対処方法や避けたい行動、液体の種類による違い、トラブルを未然に防ぐための工夫、さらにバックアップの重要性についても紹介してきました。しかしながら、どんなに気を付けていたとしても予期せぬトラブルに直面することはあり、その際には慌ててしまうことも多いものです。
水没したSDカード内に無くなったり取り出しができなくなったりしたら困ると思うデータが少しでも入っているような場合には手を止めてプロのデータ復旧業者の無料相談を利用することを優先しましょう。アドバンスデータ復旧はSDカードに生じる様々なトラブルおよび水没した精密機器に対して数多くの復旧実績もあり、安心です。万が一困った時には無料の相談から始めてはいかがでしょうか。

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