RAID61は、RAID0やRAID1、RAID5、RAID6、RAID10などのRAIDの種類と比べると見かける機会が少なく、仕組みや特徴がイメージしにくいRAIDの1つです。
RAIDは種類によって、データ容量の保存効率、耐障害性、処理速度の傾向が異なりますが、RAID61は一般的なRAID構成とは少し考え方が異なるため、全体像をつかみにくい構成になっています。
本記事では、RAID61の意味から、構成の仕組み、データ使用容量の考え方、特徴、よく比較されるRAIDとの違いまで、順番に確認したいポイントを整理していきます。
RAID61とは?構成の仕組みをわかりやすく解説
RAID61は、RAID0やRAID1、RAID5、RAID6、RAID10などと比べて広く知られている構成ではないため、名称を見ただけでは仕組みをイメージしにくいものです。RAID61はRAID6に近いように見えますが、実際にはRAID6単体とは構造が異なり、よりデータ保全の安全性を重視した考え方で成り立っています。まずは、RAID61がどのような仕組みで構成されるRAIDなのかを押さえておくと、特徴を理解しやすくなります。
- RAID61の基本的な考え方
- RAID61の構成で押さえたいポイント
1.RAID61の基本的な考え方
RAID61はRAID6をベースにした構成に、さらにRAID1の考え方で組み合わせたRAIDの種類になります。RAID6は、パリティを使って複数台のディスクにデータを分散しながら保存する方式で、例え2台のディスクに障害・故障が発生したとしてもデータの消失に備えられる点が大きな特徴として挙げられます。RAID61では、このRAID6の構成を2つ用意して、その2つをミラーリングの考え方でまとめるものです。
そのため、RAID61は単純にRAID6を使う構成とは異なり、RAID6の耐障害性に加えて、ミラーリングによるデータ保護も組み合わさった形になります。名称だけではわかりにくいものの、考え方としては「RAID6を基にした構成を、さらにRAID1のように組み合わせるRAID」と整理すると理解がしやすくなります。
↓RAID6とは?詳しくは下記の記事で解説しています。
2.RAID61の構成で押さえたいポイント
RAID61は、偶数台のディスクを使って構成されることが基本です。これは、RAID6のアレイを2つに分けて、その2つを対応させる形でまとめるためです。単にディスクを増やしていくRAIDではなく、どのように分けて構成するかが前提になるため、一般的なRAID0やRAID5よりも仕組みが複雑に感じやすい構成として挙げられます。
また、RAID61はデータの安全性を重視した構成である一方、その分だけ使える容量は少なくなりやすく、構成もシンプルではありません。そのため、RAID61を理解する時には、まず「RAID6を基にしたアレイをミラーリングしている構成である」という全体像を押さえておくことが大切です。
RAID61で使用できるデータ容量

RAID61は高い耐障害性を持つ一方で、構成したディスクの合計容量をそのまま使えるわけでは無いため注意しましょう。これは、RAID6のパリティ領域と、ミラーリングのための領域が必要になるためです。そのため、RAID61を理解する時は、データの総容量だけでなく、実際に使える容量がどのくらいになるのかを押さえておくことも大切です。
- RAID61の容量計算の考え方
- RAID61は容量効率より安全性を重視した構成
1.RAID61の容量計算の考え方
RAID61で使用可能なデータ容量は、使用するディスクの台数を元に考えることができます。一般的には、「使用するディスク台数÷2−2」台分の容量が実際に使える容量の目安になります。例えば、同じ容量のディスクを8台使う場合は、8÷2−2で2台分、10台使う場合は10÷2−2で3台分のディスク容量がデータの使用可能容量として考えられるものです。
つまり、ディスクの台数を増やしても、そのすべてがデータの保存領域になるわけでは無いものです。RAID61はデータ運用の安全性を高めるための仕組みが組み込まれている分、見た目の総容量よりも使える容量は少なくなります。
2.RAID61は容量効率より安全性を重視した構成
RAID61はデータ使用容量の効率を優先した構成ではなく、安全性を重視したRAIDの種類です。使えるデータ容量だけを見た時には、効率が良い・使い勝手がいいとは言いにくいものですが、保存したデータの保全を優先したい場面では有効な選択肢になりえる構成です。
NASやサーバーをRAID61で導入したいと検討した場合には、「データの使用できる容量をできるだけ多く確保したい」ではなく、「データの使用容量が少なくなっても高い耐障害性を重視したい」という視点で見ると、他のRAIDの種類との違いも整理しやすくなります。
RAID61の特徴

RAID61はRAIDの中でも、安全性を重視した構成として見られることが多いRAIDの種類です。RAID構成の仕組みや使用可能な容量を理解した上で特徴を見てみると、RAID61がどのような場面で選ばれやすいのかが判別しやすくなります。ここでは、NASやサーバーをRAID61で導入したい時に押さえておきたい特徴を整理していきます。
- 高い耐障害性を確保しやすい
- 書き込み速度は速さを優先した構成ではない
- 対応機種や採用例が限られる
- 容量よりも安全性を優先したい時に候補になりやすい
1.高い耐障害性を確保しやすい
RAID61の大きな特徴は、安全性が重視されやすい構成であることです。単にデータの保存容量を増やすためのRAIDではなく、障害発生時やNASやサーバーが故障した場合のデータ保全を強く意識した構成として扱われます。そのため、使用できるデータ容量の多さや単純な処理速度よりも、保存したデータを守りたい・優先したい場面で注目されやすいRAIDとして挙げられます。
↓NASにトラブルが発生した時にはこちらの記事もご確認ください。
2.書き込み速度は速さを優先した構成ではない
RAID61は、処理速度を最優先にするRAIDというよりも、安全性を優先して考えた構成です。そのため、読み書きの速さを第一に考える用途では、ほかのRAIDと比較しながら導入するか判断する必要が出てきます。特に書き込み速度については、シンプルなRAID構成より軽快さを感じにくいことがあります。
3.対応機種や採用例が限られる
RAID61は、RAID0やRAID1、RAID5、RAID6、RAID10のように頻繁に見かける構成ではありません。そのため、どの機器でも選択が可能なRAIDではなく、対応機種が限定されることもありえます。実際には設定項目として用意されている機器も多くは無いため、NASやサーバーをRAID61で運用することを考えた時には、対応機種の確認が必要です。
↓RAIDの種類やRAIDごとの復旧方法については下記の記事で詳しく解説しています。
4.容量よりも安全性を優先したい時に候補になりやすい
RAID61は、データの保存容量や構成のシンプルさを優先したものではありません。その一方で、安全性を重視したい時には導入候補として挙げられやすいRAIDとなります。結果として、RAID61の特徴は、データ保存の容量効率や扱いやすさよりも、データの保全を重視したい場面に適しているものと言えます。
RAID61と比較されるRAIDの種類は
RAID61は、他のRAIDとの違いを整理しておくと全体像がつかみやすくなります。特に比較されやすいのは、同じく高い耐障害性を持つRAID6と、速度と安全性の両立を意識したRAID10が挙げられます。ここでは、RAID61と比較されるRAIDの種類と特徴の違いについて解説していきます。
- RAID6との違い
- RAID10との違い
- RAID61は他のRAIDの種類との違いを並べて見ることが大切
1.RAID6との違い
RAID6は、パリティを使って複数台のディスクにデータを分散しながら保存するRAIDの種類で、2台のディスクが同時に故障・障害が発生したとしても問題に対処ができる構成です。一方で、RAID61はRAID6を基にした構成をさらにミラーリングの考え方で組み合わせたRAIDとなります。
そのため、RAID61はRAID6よりも構成が複雑になることが多く、使えるデータ容量は少なくなる一方で、安全性をより重視した構成として挙げられます。つまり、RAID6は単体の構成として整理しやすいのに対して、RAID61はRAID6をさらにデータの保護寄りに考えた構成と捉えると違いがわかりやすくなります。
2.RAID10との違い
RAID10は、ミラーリングとストライピングを組み合わせたRAIDの種類で、データの処理速度と安全性の両立を重視した構成となります。対してRAID61は、データの処理速度よりも安全性をより重視した構成であるところが違いとして挙げられます。
また、RAID10は比較的、よく知られている・採用されやすいRAIDの種類ですが、RAID61は対応機種や採用例が限られている、構成の考え方もわかりにくい部分があります。データの処理速度を重視するか、データ保護の安全性をより強く意識するかによって、RAID10とRAID61の選別が必要となってきます。
↓RAID10とは?詳しくは下記の記事をご確認ください。
3.RAID61は他のRAIDの種類との違いを並べて見ることが大切
RAID61は、RAID6やRAID10と並べて見ることで、特徴の整理が容易となります。RAID61は、RAID6に近い構造を持ちながら、RAID10とは異なる方向で安全性を重視したRAIDであるという見方を押さえておくと全体像がつかみやすくなります。
NASやサーバーをRAID61で運用することが向いている場面

RAID61は、データの処理速度や容量効率を最優先にする構成ではなく、安全性を重視したい場面で採用されやすいRAIDの種類となります。RAID61はNASやサーバーに保存するデータの重要性が高く、障害発生時への備えを強く意識したい場面で採用候補になりやすい構成として挙げられますが、ここでは、RAID61での運用が向いている用途や場面を紹介していきます。
- 重要なデータを保存するファイルサーバー
- 法人向けNAS環境での使用
- バックアップの保存先としての運用
1.重要なデータを保存するファイルサーバー
RAID61は、高い耐障害性を持っている構成であるため、重要なデータを保存するファイルサーバーでの運用に向いています。日常的に使う共有データや、失いたくない業務データを保存する場面では、安全性を優先した構成が求められることがあります。RAID61は、そのような場面に合いやすい構成として挙げられます。
法人向けNAS環境での使用
RAID61は、一般的な家庭用機器よりも、法人向けのNASのようにデータ運用の安全性を重視したい環境で選択されやすいRAIDの種類となります。データの使用容量の効率や扱いやすさだけではなく、保存データの保護を優先して考えたい場面では、RAID61などの構成が採用されることも少なくありません。
3.バックアップの保存先としての運用
RAID61は、バックアップデータの保存先として運用されることもあります。データの保存容量をできるだけ増やすことよりも、保管しているデータを安定して残したい状況である時には、RAID61のような安全性寄りの構成が採用されやすくなります。
RAID61での運用を選択する前に知っておきたいポイント
RAID61は、データ運用の安全性を重視した構成として挙げられますが、どの環境でも採用される・運用が可能なRAIDの種類ではないものです。そのため、NASやサーバーをRAID61で運用したいと考えた場合には押さえておきたいポイントを紹介していきます。
- 対応機種が限られている
- ディスクの必要台数と使用可能な容量を先に見ておく
- データの使用容量や処理速度よりも安全性を優先する状況であるかを確認する
1.対応機種が限られている
RAID61は、RAID0やRAID1、RAID5、RAID6、RAID10のように採用されやすい構成ではないものです。RAID61は、どの機器でも選択可能なRAIDの種類ではなく、機種によっては設定項目自体が用意されていないこともありえます。NASやサーバーをRAID61で運用することを検討した際は、まず、使用予定の機器がRAID61に対応しているかを確認しておくことが重要です。
2.ディスクの必要台数と使用可能な容量を先に見ておく
RAID61は、単に複数台のディスクをまとめて使う構成ではなく、RAID6を基にした構成をミラーリングするRAIDの種類であるため、使用するディスク台数にも注意が必要です。また、データを使用できる容量は総容量そのままにはならず、見た目より少なくなりやすい構成となります。そのため、「ディスクは何台必要になるのか」、「実際にどのくらいの容量が使えるのか」については、RAID61を導入する前に先に確認しておきたいポイントとして挙げられます。
3.データの使用容量や処理速度よりも安全性を優先する状況であるかを確認する
RAID61は、データの使用容量の効率や処理速度を最優先にするRAIDの種類ではなく、データの安全性を重視する構成です。そのため、NASやサーバーをRAID61で運用したいと考えた時には、データの使用容量を多く確保したいのか、処理速度を重視したいのか、それともデータ保全の安全性をより、重視したいのかを整理しておく必要があります。RAID61は、用途によって向き不向きが分かれやすいため、自社や自分の使い方に合致するものかを見ておくことが大切です。
まとめ・RAID61は構成や容量、特徴を踏まえた選択が必要
RAID61は、RAID6を基にした構成にミラーリングの考え方を組み合わせたRAIDの種類で、データ保全の安全性を重視したい場面で選択されることのある構成です。
RAID61はデータの使用容量の効率や処理の速度の速さ、作業のシンプルさを優先したRAIDの種類ではなく、高い耐障害性を重視した構成となります。そのため、多大なデータを保存したい場合や、処理速度を優先にしたい場合には、他のRAIDの種類の方が条件に適していることもありえます。その一方で、データの保全を重視・安全性を優先して運用したい場面では、採用候補として挙げられやすいRAIDの種類となります。
RAID61での運用を検討した時は、構成の仕組み、実際のデータの使用可能容量、特徴、向いている用途をそれぞれ切り分けて理解した上で、自社や自分の使い方に合わせて選択することが大切です。







